パクっても良い
記事のタイトルに少し驚いたかもしれません。ここではアイデアや技術を違法に盗むことを勧めているわけではありません。
マーケティングにおける打ち手を他所から発掘することを推奨しています。
それでは、本題に入ります。
マーケティングにおいて突飛なアイデアは必ずしも必要ありません。
マーケティング(特に広告)はクリエイティブ(ここでは「創造性」という意味ですが、広告業界では「広告制作物」をクリエイティブと呼びます)な仕事だと思ってはいませんか?
本屋の広告のスペースを見れば、広告のノウハウ本やアイデアの発想法などの本が数多くあります。
まるで、マーケターがクリエイティブさや素晴らしいアイデアを思いつくことを求められる仕事をしているのだと思わせます。
新しくマーケティング戦術を打ち出すのに、何も一からアイデアを捻り出したりする必要はないのです。
自分で思いつかなくても、簡単に効果的なマーケティング手法を探す方法があります。それは、成功した事例を真似ればいいのです。
ようするに模倣です。
自分が今、行っている仕事がこれまでの慣例や先輩・上司などの先人たちの行ってきた方法と同様でなお且つ成果を上げられていないのであれば、学ぶべきものは異業種にあるかもしれません。
自分の業種・業界で、慣例通りのマーケティングを行う必要はないのです。
ビジネスのフレームワークで3Cというものがあります。
3Cとは、ビジネス環境を分析するにあたり、3つのCから始まる要素を分析せよというフレームワークです。3Cはそれぞれ、Company(自社)、Customer(顧客)、そしてCompetitor(競合)です。
競争環境を分析するのであれば、3Cは有効なのですが、新しい打ち手が欲しいときに見るべきは案外異業種や他業界です。
これらは3Cの外にあるため、フレームワーク上では決して見つからない解決策です。
他所の業界ではありきたりな戦略やマーケティング手法でも自分の業界に適用すれば画期的であり、非常に強力な効果を発揮することもあります。
同業界の製品の類似品を販売することはしばしば「パクリ」だと非難されることもありますが(成功に相乗りする非常に上手い戦略ではあります)、マーケティング手法やプロモーションといった打ち手は全く問題なく真似ることができます。
業界の成功事例は「ベスト・プラクティス」として蓄積されます。多くは競合他社が同業界の成功事例を真似ますが、他業界の真似というのは見過ごされがちです。
自分で一から生み出そうとせず、まずは既に上手く行っている成功事例を探し、真似るだけで思わぬ成果を得られることがあります。
また、広告コピー作りでは、スワイプファイル(swipe file、借用ファイル)という実際に成功しているコピーを写してファイルに収納して参考にする方法が取られています。
優秀なコピーから学ぼうということです。
マーケターは必ずしもアイデアマンになる必要はありません。問題の解決策を探すことが求められています。そして、その解決策は既に他の業界で実行済みな場合があります。
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせなので、あなたが他所から真似て自分の事業に適用したとき、意外にも同業の他の人からはあなたがまるで優秀なアイデアマンと思われるかもしれません。
効果的な集客の方法は思いのほか簡単に見つかることもあります。意外なところから思わぬ収穫が得られるかもしれません。
そのため、業界の外に情報を求めてみましょう。他の業界のマーケティングの慣例が自分の業界よりも進んでいるかもしれません。
世の中は私たちのために、学ぶ材料を提供してくれています。