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鳥・虫・魚の目|マーケターの3つの目で市場を見る

 

マーケターはマーケティングの課題を特定し、その解決策の立案を役割としています。

 

したがってマーケターは、日頃から市場をはじめ外部の環境に目をやり、マーケティング上の課題や新たな市場機会を発見する必要があります。

 

その背景には、顧客志向のマーケティングコンセプトが現れて以降、顧客サイドに立つ、需要サイドに立つ、というように、視点が企業から顧客に移ったことがあります。

 

そのため、現代のマーケティングでは顧客や市場の動向の観察を深める必要性が高まってきました。

 

外部環境の分析に用いるフレームワーク、マクロではPEST、ミクロでは3CにおけるCustomer(顧客・市場)及びCompetitor(競合)があるように、自社の資源だけに目を光らせず、外にも目を向ける必要があることを示してます。

 

従来のマーケティング・コンセプトのような自社の都合だけで製品を作っていては、顧客が対価を支払いたいと思えるような価値の提案はできません。

 

顧客満足を実現するには、顧客の実際を知らなければならないのです。

 

顧客は本当な何を求めているのか、マーケターは顧客を見て、顧客を理解する必要があります。

 

マーケターが市場を見なければならないことは分かりましたが、「見る」さいに留意点があります。

 

しばしば「異なる角度から見る」といように、何かを見る場合、多角的に見ることが求められます。

 

このようなときに度々例に挙がるのですが、円錐は真横から見れば三角形、真上からみれば円というように、見る角度によって違う図形に見えます。

 

「違う方向から見ると新たな発想が生まれる」というようなことを言いたいために使われる例です。

 

さて、マーケターの場合も似たようなもので、物事を見る“角度”とは少々意味合いが異なるのですが、多層の「視点」を持ちます。

 

鳥の目、虫の目、魚の目

マーケターは顧客と向き合わなければなりません。

 

顧客は何を欲しているのか、それを知るためには私たちのアタマの中で思い浮かべるよりも、実際に自分の目で確かめたほうが確実です。

 

しかしただ見るにしても、どこをどう見ればいいのか知らなければ何の着想も得られません。

 

そこで外部環境を見るさいに、特に着目すべき3つの視点をご紹介します。

 

3つの視点とは、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」です。

 

今回マーケターの目として取り上げましたが、実は経営者やビジネスマンに必要な目としても有名です。

 

鳥の目
まず1つ目が「鳥の目」で見ることです。

 

鳥が空から見下ろすように、高所から広い範囲を見渡すことを「鳥瞰」といいます。

 

この言葉のように、「鳥の目」には広く全体を見渡す視点を意味します。

 

鳥の目の用途は大局観、全体像の把握といった、全体を俯瞰して、客観的な視点で大きな流れをつかむときに意識することです。

 

「木を見て森を見ず」でいうところの「森」を見る目です。

 

虫の目
直前に「木を見て森を見ず」ということわざを挙げましたが。もちろん細部にこだわることも重要です。

 

「鳥の目」というマクロな視点に対し、細部に注目するミクロな視点として「虫の目」があります。

 

経営者やマーケターのような戦略思考を求められる人間は大局観を持つ必要がありますが、自分のビジネスが実際にどのように動いているのか把握しておかなければなりません。

 

すなわち現場を知る目です。

 

現場で目の前の課題に注力し、その場や人(市場・顧客)に密着して観察するため、具体的な戦術やヒントをみつけるのに適しています。

 

マーケティングは常に顧客に目を向けるため、現場を見る「虫の目」はマーケターには欠かせない視点です。

 

魚の目
最後、3つ目の視点が「魚の目」です。

 

「魚の目」とは、物事の流れや変化といった「動き」を捉える視点です。

 

現代は価値観や消費者の意識もコロコロと移り変わり、製品ライフサイクルの短命化が進んでいます。

 

そのため、鳥の目や虫の目だけでなく、魚の目のように動態視力を使って、物事の動きを見続ける必要があります。

 

市場にはトレンド(潮流)があり、変化していくことが常です。

 

そして、ビジネスではスピードが重要視されており、時代の変化に対応していけるかどうかで、命運が分かれます。

 

ビジネスの環境がどう変化しているのか見極めるため、また変化の兆しを見逃さないためにも「魚の目」という「動き」を捉える視点が欠かせません。

 

 

ここまで、3つの目について解説しました。

 

マーケターの3つの目とは端的に言うと、鳥のように大局的に見て、虫のように細部を注視し、魚のように動態的に観察する視点です。

 

細部に拘ってしまっては全体像が把握できませんし、反対に全体像ばかりでは重要な細部を見落としてしまいます。そしてもちろん観察している対象がどう変化しているかも見逃してはいけません。

 

3つの目のどれか1つだけ備えておけば良いということではなく、程よい按配で3つの視点を持つことが望ましいです。

 

そして最後に、おさらいがてらに3つの目について簡潔に表にまとめたものを載せます。

 

  鳥の目 虫の目 魚の目
視点 広い視点 細部まで絞り込んだ視点 動態視点
用途 全体を見渡す 目前の課題に着目 状況・動向判断
得るモノ 大きな流れ、戦略 具体的な手段、戦術 トレンドに乗る、先読み

 


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