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価格(Price)

 

マーケティングにおける「価格(Price)」

マーケティングの4P、第二のPのPrice――価格についてお話します。

 

価格は、消費者が購買の際に最も敏感に反応する要素の一つです。また、企業の収益にも大きく関与する要素であるため、マーケティングにおいて非常に重要です。

 

経済学では、財の価格によって需要が変動することを需要曲線によって説明しています。価格が下がれば需要が増え、価格が上がれば需要が減ります。

 

企業はより多くの需要を追い求めます。そのため価格を下げようとしますが、価格を下げ過ぎると売上は増えますが利益があがりません。

 

利益の最大化は企業の目的であるため、需要量を増やすための行き過ぎた価格低下は本末転倒になってしまいます。

 

反対に、より多くの利益を得るため製品の価格を上げると、需要が下がり結果的に利益もあがらなくなります。

 

消費者は価格に非常にシビアです。あなたの日ごろの買い物を思い浮かべてみてください。価格によって買うか買わないか判断することはありませんか?

 

売買とは製品とお金の交換であり、製品を購入する際は生活にかかわる大事なお金を支払うのですから当然です。

 

消費者の立場から見ても、企業の立場から見ても価格の適切な設定は、買い手の購買決定、企業の収益性どちらにも大きく関わる重要事項なのです。

 

マーケティングの4PのPriceは、製品価格の最適化により、競争優位性を得たり、製品のプロモーション効果を高めたりして、消費者と適切な価格での価値の交換をして、ひいては企業の収益性を最大化することを目的としています。

 

価格設定で考慮すべき要因

価格が消費者の購買に大きく関与し、収益性にも直結するため価格設定とは非常に重要な活動であることがわかりました。

 

それでは価格設定をする際、どのような要因を考慮する必要があるのかお話しします。

 

1.コスト
価格は基本的に、製品の生産コストや販売コストに利益を加えた値段です。

 

価格を設定する際、コストを考慮することがよくあります。コスト未満の価格にしてしまうと利益が得られないため、原則コスト+利益で価格を設定します。

 

コストを考慮した価格設定では、コストにいくら利益を乗せて販売するかを考えます。

 

問屋などの「六掛け」はその例です。六掛けとは掛け率が6割、すなわち定価の六割が仕入れ価格だということを表しています。利益は定価の4割となります。

 

仕入れ値、つまりコストを念頭に置いた価格設定であることが明らかです。

 

2.マーケティング活動
価格はマーケティングの一要素ですが、マーケティングの各要素は独立に働くものではありません。

 

価格次第ではプロモーションや流通も変化するため、各要素との関連を考慮します。

 

また、マーケティング目標も価格設定に影響を与えます。マーケティング目標の利益額や利益率によって製品の価格設定が異なります。

 

3.戦略
ここではあまり深く踏み込みませんが、企業が取るべき戦略の中で「コストリーダーシップ戦略」や「差別化戦略」などの経営戦略があり、経営戦略次第では価格戦略も異なります。

 

他にも、企業が置かれている立場(リーダー、チャレンジャーなど)によっても設定する価格が異なります。

 

価格を設定する際、自社の内情だけで設定せず、競合他社の採用する価格が自社の価格戦略に大きく影響を与えます。

 

4.価格弾力性
価格弾力性とは、価格の変化に対する需要の変化です。

 

「価格弾力性が高い」というと、価格が下がると大きく需要が増え、価格が上がると大きく需要が減ることを意味します。

 

反対に「価格弾力性が低い」とは、価格が下がってもあまり需要が増えず、価格が上がっても需要があまり減りません。

 

弾力性が高いと少しの値下げでも大きく売上が伸ばせ、弾力性が低いと低価格でも売上が伸びません。

 

そのため、販売する製品の価格弾力性は価格の設定に影響を与えます。

 

5.その他外部要因
PESTなどの外部環境も価格に影響を与えます。

 

例えば、景気の変動(Economy)です。景気が下向いているときは、価格を下げて少しでも需要を確保しようと試みます。

 

他には、法規制(Politics)があります。法次第では自由な価格の設定ができません。つまり、価格設定に影響を与えます。

 

例えば、再販売価格維持や不公正な取引方法など独占禁止法によって制限されています。

 

業界の慣習(Social)による価格の設定も外部要因による価格への影響です。


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