情報の伝達経路|いかにして消費者にメッセージが到達するか
コミュニケーションにおいて、メッセージはどのように消費者に伝わるかと同じくらいどのような経路でメッセージが伝わるかが重要です。
流通経路を流通チャネルというように、コミュニケーションの伝達経路をコミュニケーション・チャネルといいます。
適切なコミュニケーション・チャネルを選択しなければ顧客と適切なコミュニケーションがとれなくなってしまうため、コミュニケーションにおいても最適なチャネルの選択は重要です。
ここではコミュニケーション・チャネルにどのような種類があるか解説します。
人的コミュニケーション・チャネル
人を介してのコミュニケーション全般を人的コミュニケーションといいます。
一対一、あるいは一対多で直接対面するケースもあれば、電話やメールを通じてコミュニケーションをケースもあります。
相手と直接コミュニケーションが取れ、直に反応がとれる特長があります。
人的コミュニケーションはどんな属性の人が接触するかで3つに分けられます。
1つ目に、企業の営業担当や販売員からの接触を企業チャネルといいます。
2つ目に、企業とは関係なく、専門家が情報を発信することを専門家チャネルといいます。
3つ目に、友人、家族、同僚、その他、消費者間で情報を伝えることを社会的チャネルといいます。
新しいブランドの使用を決断した理由に、家族・友人といった親しい人の影響を受けたとする人は多く、社会的チャネルは重要な人的コミュニケーション・チャネルです。
社会的チャネルは口コミの影響力の大きさもあり、昨今無視できなくなっています。
社会的チャネル内で影響力の強い人物の情報発信となれば、瞬く間に伝わり、人々の行動に大きく影響を与えます。
人的コミュニケーション・チャネルを上手く使う場合、このような影響力の強い個人あるいは企業をターゲットに接触を図ることが有効です。
情報を伝えるのに100万人に直接接触する必要はなく、適切な1000人に連絡すれば、あとは彼らが100万人に伝えてくれます。
情報発信において影響力のある発信者(オピニオン・リーダー)というと、大企業、業界アナリスト、記者などがかつての主だった発信者です。
現在では個人でも情報発信ができ、アルファ・ブロガーという影響力のあるブログを介した情報発信者も存在します。
このような個人・法人に接触し、情報を発信してもらうことで消費者の行動に大きな影響を与えることが可能です。
もっとも、一方的に発信して欲しいと頼むのではなく、彼らが発信するのに見合った(話題性があるなど)情報を用意する必要があります。
非人的コミュニケーション・チャネル
非人的コミュニケーション・チャネルは人を介さないチャネルで、メディア、PR、イベントなどがあります。
・メディア
メディアとは直訳すると媒体を意味します。
コミュニケーションにおけるメディアはメッセージを発信する媒体です。
メディアを大きく分類すると、マスメディア、屋外メディア、流通チャネル、ダイレクトメディア、デジタルメディアの5種類です。
非人的チャネルの主流はメディアであり、さまざまあるメディアをどう組み合わせて使うか(メディア)がマーケターの役割です。
1.マスメディア
単にメディアというとマスメディアのことを指す場合が多いです。
マスメディアとはマス(大衆)に向けた情報発信媒体です。
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌を4大マスメディアと呼びます。
・テレビ
テレビはマスメディアの内、最も多くの相手に訴求できます。ただし、その分コストは多くかかります。
テレビはマスメディアの中で唯一、映像と音声を併せて配信するため、CMのような短時間でも視聴者に知覚されます。
ただし、CMの場合は15秒や30秒と時間が非常に短いため、製品んお詳細な使用を伝えるのには適していないため、製品の認知やイメージ向上のために用いられることが多いです。
・ラジオ
テレビと比較すると低コストです。
聴覚のみに訴えるため、聴取者が耳を傾けることに意識していなければ伝わりません。
車を運転しながら、作業しながら、といった「ながら」でラジオを流している聴取者も多いため、確実な伝達は難しいものがあります。
ただし、テレビと比べるとターゲットを絞りやすく、低コストという長所があります。
・新聞
紙媒体の情報伝達手法としては、未だに根強く全国を網羅しています。
活字、図版による広告を掲載でき、スペースにもよりますがテレビより多くの情報を伝えることが可能です。
多くは白黒印刷で、色彩豊かで視覚を刺激する広告はカラー印刷でも発色が悪いため不向きです。
・雑誌
個人のライフスタイルや価値観に応じて、さまざまなジャンルの雑誌があるため、明確にターゲットを絞り込んでいる場合にターゲットに訴求しやすいメディアです。
コストは新聞よりも安いです。
2.屋外メディア
交通広告とも呼ばれます。
駅構内の看板広告、ポスター、電車内の吊り広告、ビルや電柱に貼り付けられる広告など、交通機関や周辺施設で利用されるメディアです。
不特定多数が接触し、日常マスメディアと接触しない消費者にも接触可能です。
場所によっては、ある程度ターゲットを絞り込むことが可能です。例えば、大学キャンパスの最寄り駅では大学生を対象の広告を設置することで、多くの大学生と接触できます。
コストは場所によって極端に差が出ます。無論、大勢の人の目に留まる場ほど値段が高くなります。
人通りの多い場所、大勢の目に留まる場所の看板広告は月当たり数百万円、数千万円とかかります。
しかし、郊外の駅のポスター広告では月数万円程度しかかかりません。
3.流通チャネル
顧客が製品に元も強く関心を持つのは、製品を購入する瞬間です。この製品を購入する時をPOP(Point Of Purchase)といいます。
流通をチャネルでのメディアはPOP広告があります(流通チャネル自体は人的販売もするため、人的コミュニケーション・チャネルでもあります)。
売り場で魅力的なPOP広告によって購入を決断した顧客も少なからずいます。
流通業者の中には、売り場を彩る魅力的なPOP広告の制作に注力する業者も存在します。
レイアウトに凝り、商品の特長を適切に伝えることで購入を促すことが可能です。
4.ダイレクト・メディア
ダイレクト・メール、電話、FAX、Eメールなど顧客に直接発信するメディアをダイレクト・メディアといいます。
主にプッシュ戦略で用いられるメディアです。プッシュ戦略については『プッシュ戦略とプル戦略――売り込む戦略、需要喚起の戦略』を参照してください。
また、ダイレクト・マーケティング(顧客に直接接触し、反応を得るマーケティング。広告の正確な反応率が計測できる特長があります。)で用いられるメディアでもあります。
5.デジタルメディア
Webサイト、Eメール、携帯電話などの電子機器によるメディアをデジタルメディアといいます。
デジタルメディアは他のメディアと大きく異なる次のような特徴があります。
1つに、双方向のコミュニケーションが可能で、一度の伝達にかかるコストが極めて低いこと。
2つに、情報量や距離が違っても伝達コストはあまり変わらないこと。情報量、距離の制約が取り払われます。
3つに、コンピュータによる情報処理が可能で、個別に高度な対応が自動で可能なこと。つまり、多数を相手するコミュニケーションも容易に管理可能となります。
このような特徴があり、デジタルメディアには大きな期待が寄せられます。
現在ではインターネットの広告費用はテレビを除く4大メディアを凌いでおり、これからもネットの広告市場は成長し続けると思われます。
技術の進歩により、Webサイトのアクセスを簡単に解析することもでき、広告効果の測定も他メディア広告より容易にできます。