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“無料”で利益を得る3つの戦略│フリーミアムなど

 

無料」という言葉には非常に強い魅力があります。

 

人は何かを失うことを怖れるもので、商品を購入することは手持ちの大事なお金を失うことを意味します。

 

財布の紐が固くなるのは大事なお金を失いたくない気持ちの表れです。

 

しかし、無料であるならそんな心配は一切ありません。

 

無料であるなら失うものは一切ないのですから。

 

そのため、「無料」には大量の集客が望めます。

 

幸いにも、デジタル化時代の現代では、無料でさまざまなものが取引されています。

 

音声、画像、動画、文字情報はデジタル化され、コンテンツとしてインターネットを介して世界中に発信できるようになりました。

 

そうしたデジタル情報は、原価が低く、いくらでも複製ができることから無料化するにはうってつけの提供物です。

 

マーケティングはさまざまなものがデジタル化した現代に適応し、無料フリーを活用した戦略を打ち出しました。

 

さらにこれから先、フリー化が進むことは確実です。

 

そのためフリー化が進む現代に適応するために、フリー戦略の3種類のモデルを学びましょう。

 

フリーミアム│フリー客とプレミアム客

無料、すなわち“フリー”戦略の中で代表的な戦略がフリーミアムです。なお、「フリーミアム」という語はフリーとプレミアムに由来する造語です。

 

無料を利用した戦略は以前からありましたが、フリーミアム戦略はデジタル化が進んだことによって非常に普及した戦略です。

 

フリーミアムの基本モデルは「大多数の無料顧客と一部の有料顧客」です。

 

フリーミアムモデルを採用したサービスは、基本的には無料でサービスを利用できますが、有料サービスではもっと便利に利用できるようにして、無料客を誘導して有料サービスで収益を図ります。

 

ニコニコ動画や基本無料のソーシャルゲームの多くは、このフリーミアム戦略を採用しています。

 

これらの例以外にもさまざまなサービスがフリーミアム戦略を採っています。

 

これらのサービスは典型的な「大多数の無料顧客と一部の有料顧客」モデルで、会員登録やサービスの利用も無料です。

 

しかし一部の機能に制限があったり、有料会員のみの機能拡張などのサービスがあり、より便利に快適にサービスを利用したい利用者は有料会員に移行して料金を支払います。

 

インターネットを主とした活動の場では、フリーミアム戦略がますます有効に活用されるようになります。

 

なお、ソフトウェアの無料版は機能に制限があり、有料版は全機能の使用が可能になるモデルは、フリーミアムという語ができる前から採用されておりました。

 

言葉は新しいですが、ビジネスモデルは以外にも古くからあります。

 

直接的内部相互補助

フリーミアムは機能拡張にお金を支払うモデルですが、直接的内部相互補助無料の提供物分のコストを、有料提供物の販売でカバーして収益を上げるモデルです。

 

フリーで集客し、有料提供物で収益を得るパターンが主です。

 

この戦略はフリーという言葉が流行る以前から使われており、ネット以外の業態でも多く見られます。

 

製品は無料で、サービスは有料あるいはその逆というパターンが当てはまります。

 

例えば、銀行口座を開くのは無料で振込などは有料(手数料)、携帯電話の本体が0円で手に入るが一定期間の通信契約を結ぶなどです。

 

他にもレストランの無料の調味料や、スーパーの駐車料金無料なども該当します。

 

フリー自体に集客効果はないものの、有料提供物の利益で無料提供物のコストを肩代わりするモデルであるため、直接的内部相互補助に当たります。

 

三者間市場

三者間市場とは企業がサービスを供給する対象と収益をもたらす対象が異なるモデルです。

 

検索エンジンは一般の利用客、すなわち我々のような検索を利用している顧客には無料でサービスを提供しています。

 

これだけでは利益はあげられません。そこで、検索結果に表示される関連広告などから広告料金を収益源としています。

 

サービスの直接的な利用は検索エンジンとユーザの間で行われていますが、費用を負担するのはユーザではなく広告主となります。

 

検索エンジン、ユーザ、広告主という三者がモデルに関わっていることから三者間市場といいます。

 

他にもフリーペーパーやTVなど、利用は無料で運営費用は広告費で賄うタイプのビジネスモデルは三者間市場戦略を採用しています。

 

もちろん、三者間市場は広告費に頼るビジネスモデル以外でも適用されています。

 

クレジットカードはカード利用客は無料(あるいは少額の)会費で利用でき、加盟店から手数料を徴収します。

 

 

 

以上、3種類のフリー戦略を見てきました。

 

フリー戦略の特徴は提供物を無料にすることでユーザを集め、異なる提供物あるいは異なる対象から収益をあげることです。

 

これらの戦略はユーザが集まれば集まるほど利益が増えるモデルです。

 

検索エンジンであれば多くのユーザが利用していれば、広告が多くの人の目に留まります。そのため、より多くの広告主がより多くのユーザに見てもらいたいため、広告費を進んで支払うようになります。

 

このように、フリー戦略をとる場合は、より多くのユーザを獲得することがポイントです。そのため、より多くのユーザ獲得に費用を費やします。

 

クレジットカードであれば、カードの発行費用はもちろん無料ではありません。カードの製造から発送までコストがかかります。しかし、利用客に費用を負担させるとなると会員希望者が少なくなってしまいます。

 

一円でも負担する場合と無料とでは、消費者にとって心理的に大きく異るのです。

 

たかだか一円と侮っても、何か(一円)を失うのと何も失わないのとでは、圧倒的に何も失わない方が心理的にも行動するハードルが下がります。

 

カードの利用者が少なければ、小売店の加盟も望めませんから、手数料収入も入りません。反対にカードの利用者が多ければ、買い物客の利便性を高めるために、小売店がカード会社に加盟し、手数料収入が多く手に入ります。

 

そのため、カード会社は多くの会員を手に入れるため、年会費無料などフリー戦略やポイントの優遇などのさまざまな方法でユーザを勧誘します。

 

したがって、フリー戦略を採用するときのポイントは、どこで(誰に、何で)収益をあげるか、そして如何にユーザを集めるかにあります。


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