マーケティングの基本はミックスとフォーカス
マーケティングの各プロセスはほぼ「ミックス」と「フォーカス」に尽きます。では、ミックスとはどういうことか、フォーカスとは何を意味しているのかを明らかにしていきましょう。
ミックス
「ミックス」とは複数の要素を組み合わせることです。マーケティングではミックスという言葉がよく使われています。
マーケティング・ミックス、プロモーション・ミックス、プロダクト・ミックス、ブランド・ミックスなどなど…。
「ミックス」というと「混ぜる」、「混ぜ合わせる」という意味ですが、さまざまな要素を一緒くたにごちゃ混ぜにすることとは訳が違います。
マーケティング・ミックスで言えば、この場合の「ミックス」はマーケティングの実行面の4P、各要素の「最適な組み合わせ」を検討することです。
戦略とその実行手段が一貫しているか内的にも外的にも整合性のとれた組み合わせを選択することがマーケティング・ミックスなのです。
4Pは実に多様で、一つの製品をとっても価格をどう設定するか、支払い手段は何を採用するか、流通面はどのチャネルを選択するか、プロモーションはどのメディアをいくらで使うかなど。
一つの要素(上の例では製品)が決定しても他の3要素がその要素にどう絡んでいくのかを慎重に検討します。
プロダクト・ミックスは自社が取り扱う製品のライン(幅)とアイテム(深さ)の組み合わせです。アイテムを深くすると、専門性が高くなり、幅を広くするとより多くの顧客に訴求できます。
ラインとアイテムどちらも広く取り入れようとすると、百貨店のような「全てが揃う」ような品揃えになってしまい、企業規模によっては叶わない戦略です。
よって、適切なラインとアイテムの組み合わせを選択することがプロダクト・ミックスに求められます。
このように「ミックス」とはさまざまある要素から最も効率の良い要素の選択であることがわかります。
マーケティングにおいてはミックスとあれば、最適な組み合わせの選択が求められているということを念頭に置きましょう。
フォーカス
「フォーカス」とは「焦点を合わせる」、「集中する」という意味です。
「集中」はマーケティングに限らず、ビジネス全般でも用いられますね。「選択と集中」など、限られた経営資源をより有効に利用するため、もっとも効率の良い手段に投入することです。
マーケティングも同様です。セグメンテーションからターゲティングなどは「フォーカス」の最たる例です。自社がより効率よく資源を活用できる市場に集中することがターゲティングです。
マーケティングでは市場全体をターゲットとするマスの考え方は失われつつあります。マス・マーケティングは規模の大きい企業、リーダー企業のみが取れる戦略です。
多くの企業はマスを狙うのではなく、より絞られた市場を狙うことで、マス・マーケティングでは満たせないニーズを満たすことで顧客を惹きつけます。
ターゲティングやポジショニングといった戦略は「誰を狙うか」、「自分は何者か」と標的や立場を絞ることで消費者への訴求力を強めます。
「全年齢、性別問わずのファッション誌」よりも、「30代働き盛りの男性のためのビジネスシーンのファッション誌」の方がターゲットへの訴求力は強いでしょう。
対して、おそらく前者の雑誌を手に取る消費者はいないでしょう。
全ての顧客を対象にした商品は、あらゆる顧客から関心を持たれません。
「フォーカス」することで、顧客からの強い関心と支持が得られるのです。