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3種類のチャネル政策

 

チャネルには段階があり、段階(間に入る仲介業者)が増えるごとに生産者と消費者との距離が長くなります。

 

つまり、チャネルの段階数はチャネルの長さとも言えます。

 

そして、経路には長さもあれば幅もあります。経路の長さと幅の広がりが大きいほど、多くの財が流通します。

 

チャネルの幅とは、それぞれの段階で取引する流通業者の種類及び数です。

 

例えば、生産者A社は小売業者X社と独占販売契約を結び、生産者B社は全国各地、多様な小売業者と契約を結んだとします。

 

すると、A社よりB社のチャネルの幅が広いと表現します。

 

 

チャネル政策とは、チャネルの幅を決定するプロセスです。

 

チャネルを構成する流通業者をチャネル・メンバーといい、チャネルの幅を決定するとは、それぞれの段階のチャネル・メンバーの数を制限することを意味します。

 

したがって、チャネルの幅とはチャネルの排他性を意味します。

 

幅の長さは、広い、狭い、中くらいの3通りから選択できます。

 

このチャネル幅に応じた3種類のチャネル政策は以下の通りです。

 

チャネルの政策の3類型

1.開放的チャネル政策
最もチャネルの幅が広い政策です。

 

食料品店や日用品といった最寄品に用いられるチャネル政策です。

 

私達が日常的に利用するスーパーやコンビニといった近隣の小売店で販売されている商品は、たいていこのチャネル政策によって流通されています。

 

開放的チャネルの特徴は、取引先の流通業者を限定せずに広範囲にわたる業者に流通させる点です。

 

そのため、大量に製品を流通させたい場合、幅広い販売機会を得たい場合に有効です。

 

例えば、日常的に使用する洗剤を販売するのに、限られた店舗でしか販売しないとなるとせっかくの販売機会を減らしてしまいます。

 

商品が多くの小売店まで行き届くため、消費者は日常の購買行動の中で手に取る機会があります。

 

最寄品は販売価格が低く、薄利多売な商品のため、販売量を増やして利益を確保する必要があります。

 

そのため、必然的に販売機会の多い開放的チャネルをとることになるのです。

 

開放的チャネルは多くの流通業者と取引して流通量を多くする反面、流通業者の管理が困難になります。

 

売り場や売り方の指定や販売価格の管理などが困難になります。

 

流通業者のマネジメントを怠ると、同じ商品を扱う流通業者間で競争が起き、販売価格を極端に下げられ、ブランドイメージを損なってしまうこともあります。

 

このように、流通業者に販売を任せることは生産者の意図しない販売をさせてしまう業者が出てくるため、チャネルの管理も重要な任務です。

 

生産者の意図に反して安売りし続ける業者に対しては、支援を減らすといった懲罰的な処置も、ときに行う必要が出ます。

 

チャネルの広さと管理のしやすさはトレードオフ(あちらを立てればこちらが立たず)です。

 

また、取引量が多いため、多くの在庫を抱える売れ残りリスクが生じます。

 

2.排他的チャネル政策
開放的チャネルが広いチャネルなのに対し、排他的チャネルは狭いチャネルです。

 

チャネルを狭めることから、閉鎖的チャネル、特定の流通業者と専属契約を結ぶこともあるため、専属的チャネルと呼ばれる場合もあります。

 

開放的チャネル政策とは打って変わって、チャネルを限定して流通させる政策です。開放的チャネルと異なり、流通業者の数を制限することでチャネルの管理が容易になります。

 

高級ブランド品のようなブランドイメージをコントロールしたい商品を扱う場合や、自動車やPCのような購入時に消費者に専門的な説明が求められるような商品を扱う場合に用いられる政策です。

 

排他的チャネルは、生産者が選択した販売店や特約店などと専属契約を結ぶなどして、特定の流通業者に限定して販売権を付与することで政策を実施します。

 

ときには、独占販売契約や流通業者に競合する他社製品の取り扱いを禁止させることもあります。

 

流通業者の数に制限を加えることで、流通業者の販売意欲を高め、価格やブランドイメージの管理、売り場作りや販促指導といったサポートなどチャネル・メンバーに対して生産者は強い支配力を発揮できます。

 

ただし、生産者主導のチャネル管理は、政策維持のコスト増や流通業者が主体性を発揮できないというデメリットも生じます。

 

また、流通業者を絞り込むことで在庫の売れ残りスクを低減できますが、その反面、カバーできない消費者も出てきます。

 

したがって、排他的チャネルでは販売機会を逃すリスクが生じます。

 

ちなみに、販売機会を逃さないための政策が開放的チャネル政策です。販売機会とチャネルの幅もまたトレードオフの関係にあります。

 

3.選択的チャネル政策
開放的チャネルと排他的チャネルの中間、中くらいの幅のチャネルです。

 

化粧品や家電製品などの販売に用いられる政策です。

 

生産者がチャネルの幅をある程度限定し、チャネル・メンバーに優先して販売する政策です。

 

排他的チャネルほど流通業者に対して強い支配力を有しません。そのため、比較的チャネル・メンバーの自由度は高いです。

 

あくまで優遇程度の措置なため、チャネル・メンバーに対し、競合他社製品の取り扱い禁止などはできません。

 

選択した業者が必ずしも協力的とは限りませんが、チャネル・メンバー内で協力的な関係を構築することができれば、自社製品を優先的に消費者に推奨してもらえたりと便宜を図ってもらうことも可能です。

 

チャネルの適度なコントロールがとれるバランスの良い政策です。

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