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イーベイで最初に売れたもの│意外なモノにも感じる価値

 

突然ですが、イーベイで最初に落札された品をご存じでしょうか?

 

なんでこんな問題を出すのかというと、この問題がマーケティングで最も重要な概念の一つである「価値」について、あなたに示唆を与えるからです。

 

イーベイ(eBay;創業時の名称はAuctionWeb)とは、ネットオークションを運営するアメリカの企業です。世界最多の利用者を有しており、ネットオークション最大手企業です。

 

さらに、子会社に決済システムのPayPal、インターネット電話サービスのSkypeを擁する大企業です。

 

ただし、日本ではネットオークションはYahoo! Japanが手掛けるヤフオク!(旧名Yahoo!オークション)が圧倒的な利用者を持っており、一旦「イーベイジャパン」として日本進出したものの、撤退してしまいました。

 

現在、日本ではヤフオク!と提携し、日本語対応のイーベイに出品されている商品を購入できるサイトを立ち上げ、運営しています。

 

イーベイの話をサラッとしたものの、特にイーベイ自体の話がしたいのではありません。

 

それでは本題に戻りますが、あなたはイーベイで初めて落札された商品をご存じでしょうか?

 

知らないと決して正解できない問題なので、「もし自分が創業者なら、何を最初に出品するだろう?」とお考えください。

 

 

 

 

 

 

 

では、正解の発表です。

 

答えはなんと、「壊れたレーザーポインター」でした。

 

見事正解を引き出せましたか? おそらく出せなかったかと思います。

 

私はオークションに出品するなら、少なくとも使用可能な商品を出品することを前提に考えていたため、「壊れたレーザーポインター」など考えにも及びませんでした。

 

なお、落札価格は14.83ドルでした。

 

そして、レーザーポインターは「壊れたレーザーポインター」として出品したため、14.83ドルでの落札に驚いた創業者のピエール・オミダイアは落札者に連絡を取りました。

 

「レーザーポインターが壊れていることを知ったうえで落札をしたのですか?」と尋ねたところ、相手からは「私は壊れたレーザーポインターの収集家だ」と返事があり、壊れたことを知ったうえでの落札だったのです。

 

昨今のネットオークションでは商品を良く見せようと、実態とかけ離れた商品説明をする出品者がいるなかで、オミダイアの対応は良心的だな、などと関心してしまいました。

 

おそらく彼自身もそんなに価値がないと考えていたのでしょう。誤解があっての入札ではないかと思ったからこそ確認の連絡を取ったのですから。

 

自分が思っている以上に、他の人は価値を感じている

この話を知って、私が思ったのはまさにこの、「価値というのは人それぞれ」なんだと思いました。

 

価値は、マーケティングでは非常に重要な概念なのですが、やはり深いですね。

 

誰が「壊れたレーザーポインター」を14.83ドルで買うんだと思ったら、「壊れたレーザーポインター」専門の収集家がいるとわかったのです。

 

「壊れたレーザーポインター」にも落札価格相応の価値を感じる人もいるのです。

 

確かに、世の中にはさまざまなコレクターやマニアなどがいます。切手、コイン、稀覯本などは収集家が多いと耳にしたことがありますが、まさか壊れたレーザーポインター収集家がいるとは思いもよりませんでした。

 

レーザーポインター収集家ならともかく、“壊れた”レーザーポインター収集家ですからね。

 

コレクターというのは他の人とは違う価値を感じるものなんです。件の落札者にとっては出品された商品は14.83ドル払う価値があるということです。

 

世の中何に価値を置くかは人それぞれだということがよくわかります。

 

だからこそ、オークションのように多種多様な商品に、入札者が自分で値段を決めて取引できるシステムが成功しているのです。

 

きっとあなたの取り扱う商品、いや身の回りの邪魔な物品にさえも、あなたが感じる以上の価値を感じている方が存在します。

 

そう考えると、ビジネスチャンスというのは、世の中にありふれて存在していることがわかります。


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