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プロダクト・ミックス|製品の組み合わせ

 

プロダクト・ミックスとは企業が揃えている製品の組み合わせです。

 

例えば、自動車は一つの車種だけを販売しているわけではありません。

 

メルセデス・ベンツはAクラス、Bクラス、…、Sクラスなどさまざまな車種をクラス分けして取りそろえています。

 

トヨタはセダンだけでも10種類以上、トヨタブランド以外にもレクサスなどのブランドを作り、数多くの車種を取り揃えています。

 

車種は、セダン、クーペ、SUV、ミニバン、ステーションワゴン、軽など豊富にあり、大衆、高級、商用など消費者の属性にも対応しています。

 

あらゆる製品を取りそろえる企業とは対象的に、特定分野の製品しか揃えない企業も存在します。

 

トヨタの連結子会社の日野自動車は、バスやトラックなどの商用車に特化した自動車メーカーです。

 

このような企業、あるいは事業単位ごとの製品の取り揃えをプロダクト・ミックスといいます。

 

企業の戦略によって、製品の品目数や種類は大きく異なっています。

 

これらは製品のラインアップを絞る、あるい全てをカバーするという企業ごとの製品戦略の選択によって品揃えが異なるのです。

 

製品は「幅」と「深さ」の2つの軸で構成されます。プロダクト・ミックスではどのような軸と深さを選択するのかを問われます。

 

単純に品揃えを充実させることがプロダクト・ミックスで重要なのではなく、戦略に合わせた効果的な製品を取り揃えることがプロダクト・ミックスで重要なのです。

 

ラインとアイテム

製品ラインとは製品の種類、品質、価格、顧客層や属性などについて、同質のグループです。ラインを製品の「」と表現します。

 

先の自動車の例では、セダンやクーペ、ワゴンなどがラインに当たります。

 

ラインの数が多いことを幅(ライン)が広いと言い、ラインが広いとは製品のカテゴリが多いことを意味します。

 

反対に、少ないカテゴリのことをラインが狭いと言います。

 

アイテムは特定のラインを構成している製品群の最小単位です。主に、カラーやサイズなどで分けられ、アイテム間はライン間と比べて、製品間の差異が小さいことが特徴です。

 

特定ラインのアイテム数が豊富なことを、アイテムが「深い」と表現されます。ちなみにテキスト次第では、アイテムを「ラインの奥行」と言います。

 

トヨタ自動車を例にすると、セダンのラインは、センチュリー、クラウン、カムリといったアイテムで構成されています。

 

プロダクト・ミックスの検討

プロダクト・ミックスを検討する際、製品ラインの幅とアイテムの深さという2つの次元を考慮に入れます。

 

企業は目標達成のために、最適なラインとアイテムの組み合わせを選択します。

 

ちなみに、あらゆるラインとアイテムを取りそろえることをフルラインと言います。

 

フルラインは、あらゆるセグメントをターゲットにするフルカバレッジ同様、カテゴリ内のあらゆるニーズに対応することが可能になります。

 

しかし、全品目を網羅するのは非常に莫大な費用がかかるため、多くの企業は実行できません。

 

幅広い製品ラインを用意して市場の幅広いニーズに対応するのか、狭いラインだがアイテムの深さで特定ラインを重点的に狙うのか、ラインもアイテムも少ないが低価格による価格に敏感な層を捕まえるのかなど、企業の戦略や方針も考慮してプロダクト・ミックスの検討を慎重に行います。

 

下図に、架空の日用品メーカーのボディソープのプロダクト・ミックスを図示しました。

 

製品を幅と深さの2次元で捉えることで、どのように製品をミックスさせるか、競合はどのようなプロダクト・ミックスを取っているのか視覚的に比較できます。

 

新製品を開発する際は、自社のプロダクト・ミックスを視覚的に表して、既存製品と市場を共食いしてしまう製品を開発しないよう確認しなければなりません。

 

プロダクト・ミックス。製品を2つの軸を用い2次元で表しています。横軸が製品ラインの幅、縦軸がアイテムの深さを表しています。


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