リサーチのプロセス
マーケティング・リサーチのプロセス
リサーチとは目的があって行う手段です。しかし、ときに「調べること」そのものが目的となってしまう人がいます。
新規事業の立ち上げや新製品開発、戦略策定時などに行き詰まり「リサーチをしてみよう」と思いつきで意見を出してしまうような感じです。
企業は常に新たなビジネスの機会を模索しています。製品・サービスの向上から社運を賭けた新規事業など、企業が取るべき道は多岐に渡ります。
リサーチは企業が取るべき方向性を決定するための手段です。
リサーチを有効活用するためには、目的なき調査ではなく、明確な目的のもと行うべきです。
事業は方針を定めなくては活きないのと同様に、リサーチも目的を定めないことには意味がないのです。
そして、リサーチは思いつきで行われるものでも、行き当たりばったりで進行するものでもありません。
リサーチにも、段取りがあるのです。
上の図は、リサーチのプロセスを表したものです。リサーチのプロセスは概ね5つに大別でき、上図の順に進行していきます。
なお、たいていのリサーチは、マーケター本人が行うのではなく、リサーチャーというリサーチの実行者が行います。
とはいえ、マーケターはリサーチのさい、リサーチャーに任せっきりにしないためにも、少なからずリサーチの知識を持つことが必要です。
リサーチを依頼する対象は、企業内部にリサーチ部門(マーケティング・リサーチ部門)が存在するならそれを活用できるでしょう。無ければ外部のリサーチ会社を利用します。
もちろん、大がかりなリサーチでなければ、マーケター本人が資料を集めてリサーチすることも可能です。
1.調査目的の明確化
先述した通り、まずはなぜリサーチをしなくてはならないのか、をはっきりさせなければなりません。
リサーチの目的は主に、「探索」と「検証」に分類できます。
ニーズの発掘や、顧客の購買行動の調査など、機会の発見に繋がる情報を調査する目的が「探索」です。
プロモーション戦略が顧客の認知にどれだけ影響を与えたか、ブランド認知など戦略の評価を目的とした調査が「検証」です。
あらゆるプロセスは明確な目的を出発点にします。リサーチによりどんな情報を知りたいのか、どんな対象から何を知りたいのかを明らかにすることが、リサーチの出発点となります。
マーケターは現状を分析し、問題点の把握や解決のためにどのような情報が必要かは良く理解しています。しかし、どのようにリサーチするかはリサーチャーの方が詳しいでしょう。
リサーチ依頼をする際は、「何の目的で、どのような情報」が必要かを明確にしてからでないと、リサーチャーが調査に踏み出せません。
目的が明確でも依頼した情報が曖昧な場合、求めていた情報と報告された情報が異なる事態が怒り得ます。っこのようなことを防ぐためにも、リサーチャーと綿密な打ち合わせをしましょう。
そのため、リサーチを行う場合は、マーケターは信頼がおけて、良好なコミュニケーションのとれるリサーチャーを選出しましょう。
2.調査計画の決定
目的が明確になったら、調査計画の策定に移ります。
調査は闇雲に行うのではなく、限られた予算を用いて効率の良い調査を実行することが求められます。そのため、費用の算出や情報収集の方法を決定するなど計画を立てます。
予算面では例えば、あるプロモーションを行うとします。リサーチによるプロモーションの改善で、新たに利益が100万円生じると試算が出た場合、リサーチには100万円まで費用を出せることになります。
もし、100万円を上回るコストが生じるなら、このリサーチは不要であると判断できます。
まずはリサーチにいくら掛けられるのかを算出します。
続いて、どの情報源を探るかを決定します。
データは一次と二次に分けられます。二次データは既に別の目的で収集された情報です。時間的にも費用的に二次データを収集するメリットはあるため、概ね収集は二次データから始まります。
3.情報収集(計画の実行)
計画が立てられたら、いよいよ実行です。
二次データの収集では、さまざまな情報源を参照します。
対して、一次データは新たなに収集するデータであり、観察、質問などさまざまな方法で調査します。
インターネットの普及により、インターネットリサーチも可能です。情報が集まる早さは他の方法より抜き出ていますが、なりますしや重複など精度に問題があります。
4.情報の分析
集まった情報を基に分析します。場合によっては報告書の作成もします。
分析には統計的手法など専門技術が用いられるため、リサーチャーに分析を任せて、マーケターは報告書の提出を待つ場合があります。
リサーチャーとマーケターは収集したデータをどのようにアウトプットするかは予め取り決めておく必要があります。
定量的なデータの技術的な分析はリサーチャーに任せ、少なくとも定性的なデータはマーケターが確認することが望ましいです。
リサーチャーとマーケターでは考えが異なるため、データへの解釈も異なります。そのため、データの分析は完全にリサーチャーに任せっきりにすることは避けたいです。
リサーチャーの見地からは取るに足りないデータでも、マーケターの見地からは貴重な情報になり得ます。
5.意思決定
分析が済み、報告を受けたら、リサーチの最終段階である意思決定を下します。
リサーチは分析が目的ではなく、より良い決定を下せる判断材料を調査することが目的です。
新規事業や新たな戦略の後押しにもなれば、不安材料があるとして却下されることもあります。