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「高い」、「安い」は相対的に知覚される|コントラストの原理

 

私たちは買い物をする際、ある商品を買うか否かを判断するのに、商品の「値段」が大きな障壁になります。

 

商品が「高い」と感じれば買わないでしょうし、「安い」と感じれば買うでしょう。「高い」と感じる商品の購入は避けます。

 

逆に言えば、私たちが商品を販売しようとするときにも「高い」と思われないように値段を設定して、適正価格や、本来売りたい価格よりも安く値付けしてしまいがちです。

 

つい、高い値段を付けることを避けてしまいます。

 

しかし、それで本当に顧客は「安い」と納得するのでしょうか?顧客側は企業の裏側の努力や葛藤など露ほども知りませんので、値段の「高い」「安い」の判断は各人の主観によります。

 

ここに、五千円の商品があるとします。

 

その商品がもし一万円だったのが、企業努力により五千円になったと明かされたら顧客はどう判断するのでしょうか?

 

すると、元々の値段より50%も値段が下がったことから、顧客は「安い!」と思うことでしょう。

 

では、初めから五千円で販売されていたら、「安い!」と判断されたでしょうか?されないでしょう。せいぜい五千円が妥当な値段だと判断されるのが関の山です。

 

それでは、安いと思われる要因は何なのか?それは比較対象です。

 

人は対比されたものを敏感に知覚します。コントラストの原理といい、人は最初に提示されたものと後に提示されたものに差異があると、実際以上に両者は異なっていると感じてしまいます

 

例えば、猛暑の日に屋外から冷房の効いた屋内に入ったとき、冷房が効く前から部屋にいるときより余計に冷たさを感じます。

 

重いものを持ち上げた後に、軽いものを持ち上げたとき、最初から軽いものをもりあげるより軽く感じます。

 

人はあらゆる知覚で差異に敏感に反応します。

 

コントラストの原理で「安い!」と思わせるには

コントラストの原理を知り、差異を作ることで、人に実際以上に差異を知覚させるということがわかりました。

 

この原理を応用して、私たちは顧客に商品を「安い!」と思わせれば多くの収益を得ることができます。

 

それでは、どのように活用すればいいのでしょう?

 

原則的に「比較対象を見せる」ことで活かされます。

 

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など、変化前の値段を提示して差異を見せることで、よりお得感を演出できます。

 

逆に、やってはいけないのは予め安い商品を見せてから高い商品を提示してしまうことです。

 

紳士服店でスーツを買うとき、大抵はスーツのみを買うのではなく、ベルトやネクタイなどその他小物類も一緒に買うものです。

 

基本的にスーツより小物類は安く、小物類を先に見てからスーツを選ぼうとすると小物類とスーツは別の商品に関わらず、値段の差異から「高い」と知覚してしまいます。

 

そのため、買い物は高い商品を先に提示しましょう。数万円のスーツを買った後は数千円の小物類の値段の多寡など気にならずに買い物をしてくれるものです。

 

車を買った場合は、その後のオプションの値段に敏感になりませんし、同様にリフォームなども工事を決めたらオプション等はもはや些細な価格で気前よくつけていただけます。

 

高額な買い物の後は、大きく値段の隔たった商品は相対的に実際以上に安く感じてしまうものなのです。

 

安さ以外にも品質も良く見せられる

先述したように、コントラストの原理は値段以外にも認められます。

 

商品の価値は値段だけでなく品質も大きく関係しているため、品質もより良く感じてもらえば顧客に「良い商品だ。買おう」と思わせることが可能です。

 

不動産を購入する場合、一軒一軒実物を見て回ります。

 

物件を回る順番はただ闇雲に見て回るのではなく、先に見栄えの悪い物件を見せてから、後に見栄えの良い立派な物件を見せると、より良い物件に感じさせることができます。

 

コントラストの原理とは、人は比較対象があれば、自ずと差異を知覚するということです。

 

より良く見せたい、より安く思わせたい場合は、その前に本来与えたい印象と逆の印象を与える比較対象を提示しましょう。そうすれば、本命はより素晴らしく見えるはずです。


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