マーケターの思索〜使えるマーケティング情報サイト〜

マーケティングの課題

 

マーケティングに求められる役割

 

マーケティングとは一体どういったものなのかをこれまで解説してきました。

 

それでは、学んできたマーケティングの知識がこれから何に役立てるのか、マーケティングが解決すべき課題やマーケティングの仕事について説明します。

 

マーケティング戦略の立案と計画策定

言わずもがなマーケティング活動の第一義はマーケティング戦略を策定し、如何に実行していくのか計画を策定することにあります。

 

ビジネス書のマーケティング理論の棚には、マーケティング戦略の立て方について解説している書籍が多数あります。

 

やはり、「マーケティング」というと「マーケティング戦略」を意味する場合が多いです。

 

単純な「製品の売り込み技術」という役割ではなく、自社が顧客にとって、どのような意義があるのかポジションの確立に努めたり、自社資源をどのように活用して顧客に価値を届けるのかといった方針を定めるといった事業の根本を定める役割を持ちます。

 

具体的には、市場の分析や標的市場の選定、製品コンセプトの決定、価格、チャネルの選択、プロモーション戦略などそれぞれの活動を、一貫性のある戦略として一纏めにします。

 

マーケティング戦略を机上の空論や理想で終わらせないためにも、戦略と戦術の整合性をとる実行計画を練ることが重要です。

 

顧客との関係性構築

事業とは製品を一度売って終わりではありません。

 

顧客と持続的な関係性を築くことで、より多くの利益の向上や企業価値を高めることができます。

 

そのため、一度築き上げた顧客との関係を維持することも、マーケティングの重要な役割です。

 

マーケティングでは「関係性」を「リレーションシップ」と呼び、長期的なリレーションシップを築く管理手法をカスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)といいます。

 

企業が顧客と強固な関係性を築くためには、消費者の行動を理解し、顧客がなぜ自社の製品を求めたのか、顧客は何を求めているのか、どこで手に入れたのかなど、顧客への理解を深める必要があります。

 

情報収集(マーケティング・リサーチ)

競争の激化や顧客の嗜好の多様化など、さまざまな要因から企業はどのような方向性で戦略を立てればいいのか判断することが難しくなっています。

 

戦略を立てるためにも、組織内や外部環境の現状を把握しなければなりません。

 

顧客はもちろんのこと、誰が自社にどのような影響を与えているのか関係者を観察する必要があります。

 

市場調査一つとっても、顧客のニーズだけでなく、市場規模や顧客の選好などさまざまな情報を集めることができます。

 

情報はただ集められるだけ集めるのではなく、目的に応じて適切な情報を適切な量、集めることがコツです。

 

収集する情報は数字で表せる定量的なデータだけでなく、個人の嗜好や価値観によって回答が異なる定性的なデータも取ることで、顧客のライフスタイルのような数字上では把握できない情報を掴むことができます。

 

ただし、情報収集は重要な活動ですが、大量の情報は大量の分析を迫られ、決断を鈍くさせることもあります。

 

価値の創造と伝達

企業は顧客に、「ベネフィットの束」とも言うべき価値を製品やサービスといった形で創りあげて、提供しなければいけません。

 

顧客が何を求めているのか、すなわちどんな製品に価値があると考えているのかをリサーチなどの情報収集を基にして製品を設計し、製造します。

 

そして、製品の製造工程が完了したら完成ではありません。製品は顧客の手に届いて初めて製品の意味をなします。製品は役割を全うして初めて顧客に価値を提供したということです。

 

製品が出来上がったら、顧客に「あなたの問題を解決する手段を私たちは持っています」という旨を伝えなければなりません。そのためには、宣伝・広告や流通など、どのチャネルを使って効果的に顧客にメッセージを伝達できるのかを吟味します。

 

ブランディング

あらゆるものが「ブランド」になります。

 

ファッション、企業、大学、非営利法人、宗教団体、個人、市場に出回っているかを問わず、世の中に存在する全てが「ブランド」として、他と区別する認識装置という役割を持ちます。

 

企業はブランドが持つ、顧客に対する強みを認識しなければなりません。

 

自社は、「メルセデスベンツ」のような高級ステータスの象徴としてのブランドである、あるいは低価格を保証する価格への反応が高感度な顧客へ訴求するブランドである、など他社とは違う特徴を持つことを顧客に認知させます。

 

企業は、自社は顧客にとってどのようなポジションにいるのか、競合他社と比較してどのような強みがあるのかを自覚して、自社ブランドの確立に注力します。

 

持続的な成長の実現

事業とは一過的なものではありません。基本的に事業とは一度起ち上げたら潰さないように努めることが常です。

 

長期的に事業を継続するには、成長を続ける必要があります。成長せず、現状維持を続けてしまえば、競合の成長により市場から取り残されてしまいます。

 

そのため、成長し続けなければ、いずれどのような事業でも廃れてしまいます。

 

継続的に収益性を成長させることは、短期的なプロモーション活動を続けて売上を上げることで成し得ることではありません。

 

長期的な戦略は短期的な戦略を積み重ねるて出来上がりません。

 

例えば、売り込みをしつこく、強引に続ければ一時的には売上を伸ばすことはできます。

 

しかし、長期的に見れば顧客からの反感をくらい、リピートされなかったり、悪評が広まり、新規顧客も獲得できなくなっていきます。

 

目先の利益を拾う戦略は長続きしないのです。顧客とは一回限りの付き合いではなく、長く付き合うことで収益性も高まります。

 

そのため、長期的な視点を持って戦略を立てなければなりません。

 

特に、ブランドというのは短期的に出来上がるものではなく、長期にわたって顧客に認識され続けることで、強いブランドと認識され、持続的な競争優位の源泉の確立につながります。


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