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販売促進(セールス・プロモーション)【プロモーション・ミックス】

 

販売促進は、消費者や流通業者に対して働きかける、購買を促すインセンティブ(誘引)・ツールの集まりです。セールス・プロモーション(SP)ともいいます。

 

身近な具体例を挙げると、ポイントカード、クーポン、試食や無料サンプルなどが販売促進に用いられるツールです。

 

マーケティングは、企業に対する消費者の態度を形成する長期的な戦略の策定はもちろん、購買行動を誘発する短期的な効果を持つツールも用います。

 

プロモーション・ミックスでは広告が長期的に成果を上げる投資であるのに対し、販売促進は直接購買につながる即物的な働きかけです。

 

売上目標が達成できていない状況で、ノルマ達成期限が迫る中、販売促進に頼り売上を伸ばそうとするのは当然のことです。

 

広告では今すぐに売上を伸ばすことは難しいですが、販売促進ツールならすぐに効果を上げることが可能です。

 

販売促進には、消費者向けの販売促進と流通業者向けの販売促進があります。ちなみに、先述の身近な具体例はもちろん消費者向けの販売促進です。

 

販売促進を始めるにも、もちろん目的の明確化から始めるのですが、消費者向けか流通業者向けかでも目的が異なります。

 

また、目的によって用いる販売促進ツールも異なるため、「誰に向けて、何をするのか」を明確にしましょう。

 

単純に売上増加を目的としても、販売の窓口は小売業者だとしたら、流通業者を巻き込んでのマーケティング・キャンペーンになり得ます。

 

試供品の提供は、消費者に自社製品の試用を促しアピールする目的ですし、割引券の発行なら一時的な購入量の増加を目的としています。

 

主に、消費者向けの販売促進目的は、売上数量の増加、試用の促進、競合製品使用者の取り込み(ブランドや製品などを変えることをスイッチと言います)、関係の構築などがあります。

 

消費者に対しての販売促進は概して、短期的な売上増と、長期的なリレーションシップ(関係)の構築が目的です。

 

流通業者向けの販売促進目的は、売上増はもちろん、製品の納入量、取り扱い品数の増加などがあります。

 

販売促進ツール

販売促進の目的が決定したら、続いて販売促進ツールを選択します。

 

プロモーションを担当するマーケターは市場・製品タイプ、競合、販促目的、ツールの費用対効果を考慮しながら、ツールを選択します。

 

ここでは、主な販売促進ツールを取り上げます。

 

消費者向け販売促進ツール
・サンプル、試供品:無料で提供する製品やサービス。
・クーポン、割引券:特定の製品を購入すると一部返金される証書。
・値引き:製品の通常価格から値引きすること。
・現金払い戻し(リベート):購入後の値引き。
・POP(Point Of Purchase):販売時点に展示する広告。
・プレミアム(懸賞、コンテスト、おまけ):購入者に特別な提供をすること。例えば、消費者に抽選でプレゼントを贈る(懸賞)、消費者が作品を提出し、優秀作の提出者にはプレゼント(コンテスト)、スナック菓子に付く玩具(おまけ)など。
・リピート報奨:購入頻度の高い顧客に対し、報奨を与えること。
・デモンストレーション:製品使用方法を実演して、製品のベネフィットを明らかにします。試食も含みます。

 

なお、ジョン・C・トッテンとマーティン・P・ブロックの研究によると、販売促進は広告と併用すると最も効果が高くなるそうです。

 

研究では、価格プロモーションのみ用いたとき、販売量は15%増に対し、製品の特徴を示す広告を併せると19%増、さらにPOPも加えると、24%増という結果が出ました。

 

流通業者向け販売促進ツール
・値引き:特定の期間内の購入で、定価から値引きすること。
・アロウワンス:小売業者が製品の広告を出したり、商品を有利な陳列を行うといった融通を図ったことへの手当。
・無料商品:製品を余分に、無料で提供すること。
・販売コンテスト:販売店の販売量に応じた報酬。
・販売方法の指導:陳列法の指導や宣材の提供など。

 

企業及びセールス・フォース向け販売促進ツール
販売促進ツールには、企業、セールス・フォース向けのものもあります。

 

このツールは、ノベルティの配布や、トレード・ショーなど取引のきっかけを作るのに用いられます。

 

販売促進プログラム

販売促進とは、即物的な売上のためのインセンティブです。

 

当然、インセンティブの実行はタダではありませんし、闇雲に行っても効果は出ません。

 

そのため、計画的に行う必要があります。

 

インセンティブを利用する際に、考慮しなければならないことがあります。

 

まずは、「規模」です。販売促進の成功に、どのくらいの規模が必要か決定します。

 

次に、「条件」です。インセンティブを与える対象が、不特定多数なのか、条件付きの参加者なのか決定します。

 

3つ目に、「期間」です。常に販売促進をするのではなく、特定の期間を設定して行うことが効果的です。

 

なお、製品の購買サイクルと同じ期間が販売促進に最適な効果を発揮するという研究があります。

 

4つ目には、「配布方法」を決めます。クーポン一つとっても、店頭で配布するか、郵送するか、新聞の折込チラシで配布するか、インターネットで公開するか、さまざまな選択肢があります。

 

最後は「予算」です。

 

予算は、クーポンの印刷費、郵送費といった販促を実行するための費用(プロモーション・コスト)と、値引きやプレミアムの費用(インセンティブ・コスト)に予測販売量を掛けて算出します。

 

クーポンの場合は、当然ながら全員が利用するわけではなく、ごく一部程度しか使わない事実があることを念頭に置きましょう。

 

以上が、販売促進プログラムの作成時に、考慮すべき要素です。

 

プログラムの作成ができたら、マーケティングのプログラムの例に漏れず、販売促進プログラムも事前テスト、及びプログラムの実行管理、結果の評価を怠ってはいけません。


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