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パブリシティとPR(Public Relations)【プロモーション・ミックス】

 

パブリシティとPR(以下、ことわりがないときは単に「PR」とします)とは、企業の利害関係者との良好な関係を構築し、企業や製品のイメージを保護する種々のプログラムです。

 

しかしこれだけでは、まだ意味がよくわからないかと思います。

 

PRは、Public Relationsのイニシャルです。publicとは「公衆」を意味し、PRを直訳すると「公衆との関係」となります。

 

したがって、PRとは公衆との良好な関係作りを目的としています。

 

さて、PRにおける公衆とはどのような人のことでしょうか?

 

PRの以外のプロモーションでは、顧客はもちろん、供給業者、流通業者、など契約関係にある、あるいはなり得る企業に向けたものでした。

 

そこでPRではこれら以外の、マーケティング目標を達成するさいの潜在的な利害関係にある者や影響力のある者とも良好な関係を築くことを目的とします。

 

その「潜在的な利害関係にある者や影響力のある者」をPRにおける公衆(パブリック)と呼びます。

 

具体的に例を挙げると、マスコミや報道機関、政府関係者、シンクタンクやコンサルタント、影響力のある消費者などです。

 

また、インターネットの発達により、誰でも情報が発信できるようになった今、消費者に強い影響力を持つブロガーも出てきたため、消費者は一層無視できない存在になりました。

 

PRは、このような人々を対象に良好な関係構築を目指すプロモーション活動です。

 

なお、PRは働きかける相手によって、次のような活動を展開します。

 

  • 報道対策(マスコミ)
  • コーポレート・コミュニケーション(社外及び、社内)
  • ロビー活動(政府関係者)

 

さて、PRの必要性ですが、

 

市場にはさまざまな人々が活動しています。

 

企業は自社のターゲット顧客のみに集中して、優遇したサービスを提供するだけで良いというわけではありません。

 

それはそれでもちろん大事なことではありますが、市場は企業と顧客だけしか存在しないはずはなく、その他にも競合企業やターゲット以外の消費者、多様な集団が存在します。

 

ターゲットには満足してもらえたとしても、満足なサービスを受けれなかったターゲットでない消費者や、妬んだ競合が悪評を流したとします。

 

すると、その悪評を見た既存の顧客は購買を控えてしまい、結果として企業自体に落ち度はないものの、売上を落としてしまう事態に陥ってしまいます。

 

情報というのは、企業自身が発信しなくとも第三者が発信し、その企業の製品に対する購買意欲に良かれ悪しかれ影響を与えます。

 

第三者からの情報というのは、受け手からは中立に見えてしまい、公平な評価だとすんなりと受け容れられてしまいがちです。

 

PRは上手く使えば、顧客に好ましい影響を与えられるのですが、反面、企業に好ましくない情報も受け容れられてしまいます。

 

そのため、企業はPRに、好ましい影響を与えるプロモーション効果を求めるだけでなく、マイナスの効果を及ぼす情報が発信されないように(不都合な事実の隠蔽という意味ではない)、PRを管理する必要があります。

 

PR設計

PRもプロモーション活動の一貫であるため、PRプログラムの構築も、その他のプロモーション設計とほぼ同様です。

 

根本的には他と変わらないのですが、PRで問題となるのはどうやって「公衆」と接触し関係が作れるかです。

 

PRで対象となるのは、広大な市場と比較して実に狭い人々です。そして、競合もまたPR対策を行っているため、アプローチする相手が競合と同じことだって多々あります。

 

それでは、PRの決定事項を一から見てみましょう。

 

1.目的の設定
やはり、第一ステップは何事も目的からであり、PRも変わりません。

 

なぜPRが必要なのか、目的から出発します。

 

PRがの目的は主に、次の4つです。認知、信頼性、流通業者への刺激、コスト削減、です。

 

@認知
「認知」は消費者の購買プロセスの最初ともあって、重要なプロセスです。知られていなければ選択肢にもあがらないため、まずは消費者に認知させることが重要でです。

 

PRでは、製品やサービスをはじめ、企業組織、人物、アイデア、技術などメディアに注目してもらうさまざまな話題を提供して市場での認知度を上昇させます。

 

A信頼性
たとえ製品が知られていたとしても、悪評ばかりでは購入してもらえません。顧客は企業を信頼して購入するため、信頼性の向上に努める必要があります。

 

そのため、企業から信頼性を向上させる種々の情報やメッセージを発信します。

 

B流通業者への刺激
製品が話題になれば、セールス・フォース、ディーラー、小売業者といった製品の販売者の意欲を刺激することができます。

 

Cコスト削減
PRはプロモーション活動の1つです。無償で雑誌やテレビ番組で特集が組まれたとき、高額費用をかけた広告と同じ効果が得られるのであれば、プロモーション・コストを大幅削減できます。

 

2.メッセージと到達手段の選択
どんなツールを使い、どのような話題性のあるメッセージを提供するのか決定します。

 

PRツールには次のようなものがあります。

 

 刊行物、イベント、スポンサーシップ、社会貢献、アイデンティティ(ロゴなど、それとわかる識別記号)

 

これらを用いてメッセージを伝達し、公衆との関係を構築します。

 

例えば企業のPRでは、新製品のアピールにマスコミを読んで発表会などのイベントを開催したり、社内でどのような社会貢献に取り組んでいるのかを刊行物で発信したりと、企業の認知拡大や信頼の醸成にPRツールを用います。

 

3.PR計画の実施と評価
計画を立てたら、実行に移します。

 

そして、プロモーション活動の例に漏れず、最終的に結果を測定し、評価します。

 

PRが成功したかどうか、及びPRの効果のほどはどうか、2つの観点から評価しましょう。他のプロモーション同様に、露出、認知度、消費者の態度の変容、売上(利益)の変化、などを測定します。

 

 

なお、パブリシティとPR、及び広告の違いについてはこちらの『広告、PR、パブリシティ、何が違う?』を御覧ください。


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