新製品開発のプロセス
企業は常に新たな市場を開拓して成長をしていく必要があります。そのためにも新製品の開発は企業の将来に大きく関わる一大事業です。
新技術の開発や製品の品質を向上させるのは、一般に、研究開発部門(R&D)です。しかし、優れた技術開発力と優れた製品を市場に導入することの間には深い溝があります。
この溝を埋めるために、新製品開発のプロセスがあります。
企業が新たな技術の開発や、アイデア、情報などの開発資源をどのような段階を経て、製品として形成されるのかを各ステップの概要を解説します。
新製品開発│7つのプロセス
1.アイデア探究
まずは、アイデアを出すことから始まります。
あらゆる市場提供物はアイデアを発端にして誕生します。
どのような新製品を開発できるのか、企業内外の情報を探索します。
情報源は例を挙げると以下の通りです。
・マーケティング・リサーチ
・新聞、雑誌など
・競合他社の製品・サービス
・アイデアの公募
・専門家にたずねる
・営業やサポートなど、顧客からの意見の収集
・展示会などへの参加
まずは、アイデアの段階なため自由な意見を奨励しましょう。
2.アイデア・スクリーニング
出したアイデアをふるいに掛けます。数多くの要素から、ある基準によって要素を選び出すことをスクリーニングと言います。
基準は企業の方針ごとに異なります。標的市場に合致しているのか、競合関係はどうなのかなどさまざまあります。
アイデア創出段階で数多くのアイデアを収集しました。収集したアイデアから優れたアイデアを選出します。
アイデアの欠点を挙げることは簡単です。しかし、欠点ばかりに着目すると優れた事業の芽を潰しかねません。
スクリーニングの基準を高くし過ぎるとても、低くし過ぎてもダメという、アイデア創出より難しいプロセスです。
ちなみに、スクリーニングによって優れたアイデアを見落としてしまう事をドロップ・エラー、採算の取れないような事業性の低いアイデアを通してしまうことをゴー・エラーと言います。
3.製品コンセプトの開発
アイデアを顧客が欲しがる理由へと昇華させるプロセスが製品コンセプトを確立することです。
「アイデア」のままでは、顧客は製品を欲しがりません。「アイデア」から「コンセプト」へと肉付けして確立しなければならないのです。
例えば、あるオレンジジュースの新製品開発で、たんに「栄養価を上げよう」とか「健康に良い成分を増やそう」などはアイデアの段階です。
このアイデアのままでは、消費者にとってはどんな得があるのか、すなわちベネフィットが伝わりません。
そこで「ビタミンC含有量を増やす」というアイデアがあった場合、ビタミンCを増やすことは肌の健康を保つのに良いとされるため、新しいオレンジジュースは「美肌を保つためのオレンジジュース」というコンセプトを確立することができます。
コンセプトの有効性は、企業の方針や戦略、マーケティング・ミックスの連結など企業内外の整合性を確認することで事業化につながるかを検討します。
4.事業性分析
新製品のコンセプトが技術的に可能か、また製造できたとして採算が採れるかなどの問題を分析します。
技術面と収益性の面で分析し、事業性の有無を確認しなければなりません。
5.製品開発
実際に製品・サービスの設計に取組み、製造にこぎつけます。
本格的に生産する前に、まず試作品を製造します。
試作品が十分合格な出来でゴーサインが出たら、大量生産するための工程、設備、ノウハウなどの整備を行います。
6.テスト
完成品が出来てもいきなり全国展開で販売してしまったら、失敗したときに取り返しがつきません。
完成品が出来たとしても、その製品が市場に受け入れられるのかを試す必要があります。
小さな市場でプロモーションや製品などが顧客からどのような反応をされるのかテストしましょう。
7.市場導入
テストにより、十分採算が得られると期待できたら、いよいよ本格的に新製品を市場に送り出します。