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現代における製品の捉え方

 

製品はさまざまなタイプに分類され、製品の分類ごとにマーケティングの対応が変化します。そのため、取り扱う製品・サービスがどのような特徴を持つタイプなのかを把握することが要です。

 

しかし、変化の激しい現代では単純な製品の類型に当てはめたマーケティング対応が通用するとは限りません。

 

ここでは、現代において製品がどのように捉えられるのか、どのような変化があるのかご紹介します。

 

先述したように、製品はさまざまな分類が可能です。中でも消費財は購買態度によって、最寄品、買回品、専門品、非探索品の4種類に分けられます。

 

これらの特徴を簡単におさらいします。

 

最寄品は、日用品や食料品など日常的に消費される製品です。最寄品の特徴は価格が安く、購入頻度が高いことです。また、購買の際に比較検討など購買努力をあまり払いません。

 

買回品は家電や家具、衣服などに代表される、比較的購入頻度が低く、製品の比較など購買努力は高い特徴を持ちます。価格や品質など、購買に消費者個人の嗜好が強く反映されます。

 

専門品は、最も強く個人の趣味嗜好が購買に反映される製品です。高級ファッションブランドや高級スポーツカーなどに代表されるように、いわゆる「ぜいたく品」と呼ばれる製品です。

 

非探索品は、一般に消費者から興味関心を抱かれない製品です。

 

4種類の製品概念は以上のとおりです。

 

しかし今日では、技術の進歩、競争の激化、嗜好の多様化などさまざまな要因から競争環境が大きく変容し、これらの製品概念では市場に対応しきれません。

 

マーケターは、自社製品をマーケティングするのに、現在の市場環境の変化を認識しておかなければなりません。

 

それでは、現在までにどのような変化が起きたのか、また起きているのかを次に解説します。

 

1.多様化

顧客の嗜好に関しても、製品に関しても多様化が進んでおります。最寄品の一つである食料品ももれなく、この多様化の波に呑まれています。

 

製品の数が豊富なことは売り手にとっても、買い手にとっても大きく消費動向に影響を与えます。

 

製品の種類が多様になるということは、個々の製品はさまざまな方法で他製品と差別化を図ろうと努めます。

 

そのため、食品の中でも高級と言われる種類の食品も価格の安いものから、さらに高いものまで価格帯が広くなったり、生産者の顔が見れるようになり安全性を訴えたりと、消費者にあの手この手でアピールするようになりました。

 

2.コモディティ化

コモディティ(commodity)とは英語では「日用品」という意味です。

 

生活に必要な製品ではありますが、ビジネスでは他の製品との差異が認識されない製品という意味を持ちます。

 

他の製品と違いが分からないと何が問題かというと、同じような製品なら価格の低い製品が購入されることです。消費者からすると当然の行動です。

 

価格以外の理由で、その製品を買う理由が無いことを意味し、コモディティ化した製品は価格競争に陥ります。

 

現在の競争環境で、このコモディティ化が最も問題視されます。

 

買回品や専門品のような消費者の各々の嗜好が購買に大きく関わる製品であったとしても、現在では速いサイクルでコモディティ化してしまいます。

 

家電製品などは買回品ですが、技術の向上の結果、どのメーカーでも性能面では大差なくなりコモディティと化した製品が多くあります。

 

衣料品であっても、デザインは簡単に模倣されるため、衣料品自体が持つ機能では差別化が図れずコモディティ化の進行は非常に速くなっております。

 

現在では、強いブランドの構築により、製品・サービスのコモディティ化に対応しようと、あらゆる企業が躍起になっています。

 

コモディティとは「差異が認識されない」状態を意味するため、ポジショニングなどで他社と明確に異なる立ち位置を取っていると消費者に強く認識させることが、マーケターの役割です。

 

3.プレミア化

コモディティ化が進行しているのに対して、一部製品はプレミアで高価値だと認識されます。

 

消費者の嗜好が多様化して、限定的で狭いニーズを的確に満たす製品や供給量が少ない製品で多くの需要がある場合には、本来の価格よりもプレミアムがついて高価格で取引されます。

 

インターネットの普及で、容易に多くの人がオークションという商品の取引市場に参入できるようになったため、さまざまな商品が高付加価値で取引されるようにもなりました。


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