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流通チャネルの種類

 

チャネル戦略とは自社に最適なチャネルを選択することです。

 

そのためにはまずどのようなチャネルがあるのか把握しておく必要があります。

 

ここでは、チャネルにはどのような種類があるのか、そしてその役割について説明します。ここでチャネル戦略で採れる選択肢について理解を深めてください。

 

直接流通と間接流通、マーケティング・チャネル

流通は生産者が消費者と直接取引する直接流通と、生産者と消費者び間に流通業者が介在する間接流通に分けられます。

 

ちなみに、「生産者」とは農産物や水産物といった一次産品の生産者も含む広い概念です。工業品の製造業者のみ指す場合は「メーカー」といいます。

 

家電製品や重電製品などの製造業者を電機メーカーと呼びますが、農家や漁師を農産メーカーや水産メーカーとは呼ぶことはありません。

 

1.直接流通
直接流通は、インターネットや新聞・雑誌、テレビなどメディアを介した通信販売や、直営店、販売員による直接訪問の販売などといった方法がああります。

 

直接流通の利点は生産者と消費者が直接取引することにより、コミュニケーションや配送などが迅速にかつ正確に行えることです。

 

反面、不特定多数の消費者と取引しようとなると流通コストが高くなります。流通コストの増加分は生産者と消費者の片方が負担するか、双方が分担する必要があります。

 

2.間接流通
間に流通業者が介在する流通です。生産者と消費者の間に入ることで、取引の合理化が図れます(『流通(Place)』の図を参照)。

 

反面、生産者と消費者が取引の場で直接接触できないため、コミュニケーションや配送なでの迅速さ、正確さが下がります。

 

現代においては、広範囲に大量に販売する場合は間接流通が取られます。

 

ただし、インターネットの普及により生産者、消費者双方向の情報のやりとりが可能になり、流通コストを引き下げることができます。

 

そのため、かつては間接流通が主流な産業も後に直接流通が主流になってくるかもしれません。

 

衣料品をサイズ確認して試着もせずにインターネットで購入するようになった昨今、アパレルメーカーがインターネットで販売サイトを運営して、消費者に直接販売するようにもなりました。

 

これは、衣料品の直接流通による販売の場が直営店などからインターネットにより拡大したことを意味します。

 

マーケティング・チャネル
生産者から消費者までも流通経路を一般にチャネルと呼びますが、生産者が卸売業者や小売業者のような流通業者を組織化したチャネルを、とくにマーケティング・チャネルと呼びます。

 

チャネル組織の自社と外部

チャネルを分類する場合、まず自社か外部かに分けられます。

 

自社の営業部や、直営店などは自社チャネル、代理店や小売店、卸などは外部チャネルに分類されます。

 

1.自社チャネル
自社チャネルの営業担当の役割はさまざまあります。

 

基本の役割は営業だけあって、顧客を訪問して取引をまとめることですが、注文以外にも仕事はあります。

 

契約条件の交渉や、配送、設置の監督、返品、クレーム処理など販売後の責任を引き受けます。

 

流通業者を受け持つ担当者はさらに、流通業者を技術面、販売面で教育する役割を持ちます。

 

2.外部チャネル
流通業者は外部チャネルに分類され、狭義には流通業者をチャネルと呼びます。

 

流通業者は生産者より仕入れた製品の販売で利益を得ます(利ざや、マージンを得ると言います)。

 

また、流通業者は限られた分野の製品を扱う専門業者と、分野を限定せず製品を幅広く扱う一般業者に分けられます。

 

一部地域の歯科医専門の卸売業者もあれば、全国展開の日常生活に必要なあらゆる消費財を揃えた小売店もあります(小売と卸売については後述)。

 

生産者と流通業者は長期的な関係を持ちます。流通業者は安定的な製品の供給源を確保し、なおかつ販売教育や新技術や新製品の情報、在庫管理などの支援を受けることができる利点があります。

 

しかし流通業者は生産者の支援に頼りきりではなく、大手の小売チェーンのような購買力の強い流通業者は、生産者に対し強い交渉力を有します。

 

また、このようなこの小売業者はPOSデータ(Point Of Sales:レジの販売情報)などの膨大な情報、例えば売れ筋商品のような消費者の購情報をITで管理し、蓄積することで生産者に対して強い影響力を持ちます。

 

小売と卸売

流通業者はさらに、直接エンドユーザ(最終消費者)と取引する小売業者とエンドユーザと直接取引しない卸売業者に分けられます。

 

1.小売業者
ある製品を欲しいと思った消費者はどこで製品を買うのかというと、食料品や日用品ならスーパー、家電なら電器店、自動車ならカー・ディーラーというようにその製品を販売しているところへ行って購入します。

 

これら小売業者に求められる最も重要な機能が集客です。

 

当たり前のことですが、買い手が殺到する小売業者には誰もが自社の製品を置いて欲しいと望むものです。

 

そうなると、小売業者は生産者に対して強い交渉力を発揮できるようになります。

 

小売業者はエンドユーザと直接取引し、日々のPOSデータの蓄積により、売れ筋商品の特定などが容易になっています。

 

すなわち、何が売れているのかを小売業者は知っているということであり、生産者に対し影響力を有します。

 

また、消費者は、ある製品を買いに来たついでに他の製品が目に留まり購入を決めることもあります。

 

棚の目立つ場所に配置されていたり、棚面積の大きな商品は購入される可能性が高くなります。

 

そうなると、単に小売業者に製品を流すだけでなく、棚のどの位置に配置するか、売り場の確保も重要な課題となります。

 

小売業者は、地代や販売費などのさまざまな出費を要するため、卸売業者と比べてマージンが高く設定されます。

 

2.卸売業者
買い手の数が増えるにつれて、生産者の取引は煩雑になります。

 

そこで、生産者と不特定多数の小売業者の間に介在して取引を効率化する役割を持つのが卸売業者です。

 

卸売業者の機能は基本的に最終消費者に認知されません。

 

卸売業者に期待される役割は生産者と小売業者との接触回数を極力減らし取引を合理化することにあり、流通の川における川上(生産者)と川下(小売業者)の双方から絶えず流通合理化の圧力をかけられます。

 

卸売業者は製品の流通を円滑化する、すなわち製品を流すこと役割を持ちますが、自社で製品を買い取って販売する業者もいます。

 

買い取りリスクを負う分、より高いマージンを乗せることができるメリットがあります。


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