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チャネルのマネジメント

 

チャネル・メンバーが確定したら、流通業者に製品を流通、販売を委託しますが、放任するわけではありません。

 

チャネル・メンバーに組み込んだ業者を、自社で適切に管理、すなわちマネジメントしなければなりません。

 

チャネル・マネジメントは主に仲介業者の教育、動機付け、評価というプロセスを辿ります。

 

チャネル・メンバーの教育

チャネル・メンバーに選んだ仲介業者を企業は教育しなければなりません。

 

顧客にとって、チャネルは販売の窓口です。

 

すなわち、顧客からすればチャネルはその製品を販売している企業とイコールになります。

 

トヨタのディーラーでぞんざいな扱いを受ければ、その顧客はトヨタというブランドに対する評価を著しく落とすでしょう。

 

マクドナルドで愛想もなければ手際も悪い店員に当たれば、従業員の教育がなってないという評価を下されます。

 

このようなことが起きればその顧客は他のブランドに移ってしまい大きな損となります。

 

あまりにもブランドのイメージを損なう恐れのある質の低い仲介業者は選択の段階で候補から外されます。そのような業者は選択基準を満たさないからです。

 

しかし、さまざまな基準を設け、それらをクリアした仲介業者から厳選したとしてもチャネル・メンバーの教育は欠かせません。

 

自社のブランド・イメージ、販売戦略、価格設定などをチャネルに浸透させるために教育を徹底する必要があります。

 

飲食店やコンビニエンスストアなどは店舗を自社店舗とフランチャイズをもって事業を拡大します。

 

このようなフランチャイズ業者を用いて店舗展開する業種は特にチャネル教育を徹底しなければなりません。

 

フランチャイズの店舗を業者に運営させる前に必ず、自社で店舗運営の知識、販売、接客対応などノウハウやスキルを業者に対し十分に教育させます。

 

もちろん教育とは座学だけではなく、実地訓練により実際の業務を体験させます。

 

チャネル・メンバーの動機付け

チャネル・メンバーとの取引とはいえ、チャネルは企業内の構成員ではないのですから、企業間取引です。

 

単純な売買取引では買い手は安く買いたい、売り手は高く売りたいと考え、互いに利害は一致しません。売り手と買い手は対立的な利害関係になります。

 

このような利害関係が根本にあって、さらに企業間取引ではチャネルの構成員間での認識の不一致、対応の滞り、曖昧な役割分担などさまざまな要因が絡まり、企業間で不和が起こります。

 

企業間の不和や衝突(これらをコンフリクトといいます)を解消するためにも、企業はチャネル・メンバーに対してリーダーシップを発揮して円滑に管理しなければなりません。

 

リーダーがなぜリーダーシップを発揮できるか、なぜメンバーをコントロールできるか、その答えは早い話がリーダーはパワーを持っているからです。

 

相手の行動に影響を及ぼす能力をパワーといいます。

 

そして、チャネル・メンバーに対して行動を起こさせる能力をチャネル・パワーといいます。

 

企業はチャネル・パワーを発揮して、チャネル・メンバーを動機付けて行動を管理します。

 

チャネル・パワーの資源には以下のような種類があります。

 

・強制
強制とは、仲介業者に対しマージンの縮小や優先販売権の廃止、取引の停止といった仲介業者の不利になる条件を持ち出し脅しをかけることです。

 

「協力的でないと、条件が悪くなる」「非協力な業者は制裁する」といったように相手に力づくで行動させます。

 

強制のパワーは強い動機付けではありますが、仲介業者の反発を招きます。

 

・報酬
報酬は強制とは反対に、協力的な業者には見返りを与えるというパワーです。

 

マージンを有利にする、優先販売権の付与、新製品の優先的配荷などの報酬があります。

 

報酬は一般に強制よりも良い結果を出します。

 

ただし、仲介業者に過度な期待を与えてしまいます。その場合、企業が仲介業者にある行動を望むとき、相手は報酬を期待してしまいます。

 

・正当性
正当性は契約などの取り決めに則った行為を求める際に行使されるパワーです。

 

・専門性
専門性はチャネルにとって重要な専門知識や情報を企業が持っている場合に行使されるパワーです。

 

製品や技術に関する知識や顧客の情報などによって専門性は裏付けられます。

 

ただし、これらの知識、情報をチャネル・メンバーが獲得した場合、専門性パワーの効力は失われてしまいます。

 

そのため、専門性を発揮し続けるには常に新たな知識、情報を得続けなければなりません。

 

・関係性
企業がチャネル・メンバーから尊敬を集めている場合に発揮されるパワーです。

 

この企業と取引できることに優越性があると仲介業者が感じている場合に強く発揮されます。

 

 

これらのパワーで強制と報酬は取引条件という目に見える形で把握できます。一方、正当性、専門性、関係性はチャネル・メンバー間の主観によるものです。

 

企業はチャネル・メンバーを以上のパワーを行使して仲介業者の協力を取り付けることがチャネル・マネジメントの課題です。

 

チャネル・メンバーの評価

企業は定期的にチャネル・メンバーを評価しなければなりません。

 

評価対象はさまざまあり、販売割り当ての達成、平均在庫量、配送時間、プロモーションへの協力度合いなどがあります。

 

仲介業者への支出が業績に対して割高になる場合があります。

 

企業は販売や流通といった機能に対して支払っているため、機能が果たされていない業者、すなわち成果をあげていないと評価した仲介業者には相応の措置を取らなければなりません。

 

具体的には、教育、動機付けを改める、最後の手段に取引の打ち切りです。


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