強みの探究
強みはマーケティングにおける競争優位性を生み出します。
マーケターは自身の扱う事業や製品の「強み」を発見しなければなりません。
そこで、ここでは、その「強み」となるさまざまな要素を列挙します。
どうぞ、ご自身の製品で強みとして打ち出せそうな要素をお探しください。
製品の特性による強み
軽い | 携帯用 | 柔らかい | お徳用 | 大容量 |
簡易な | 折り畳み式 | マグネット式 | ポケットに入る | 隙間に入る |
ジェル状 | 泡状 | スティックタイプ | タブレットタイプ | 防水 |
頑丈 | 長寿命 | 抗菌 | 防犯 | 防臭 |
充電式 | 詰め替え | ワンタッチ | 持ちやすい | 静音 |
金属製 | 木製 | エコ | 自分で作る | カスタマイズ可 |
使い捨て | 見やすい | 手入れが楽 | 操作が楽 | 組立が楽 |
製品自体の特性について強みとなりうる要素を挙げてみました。身の回りにあるワンフレーズで製品特性を表している単語を取り上げてみたものの、まだまださまざまあります。
一見すると、「本当に強みになるの?」と疑問に思うほど当たり前にある特性や機能があります。しかし、ここで重要なのは、「消費者は強みを認識しているかどうか」が重要です。
もし、今取り扱っている製品のパッケージに製品の特性が表示されていないのなら、今すぐ特性を書き加えてみて下さい。
使用者や用途別の強み
男性用 | 女性用 | 子供用 | 高齢者用 | 全年齢対応 |
左利き用 | 両利き対応 | 朝用 | 夜用 | ペット専用 |
使用者による強みは、人口動態変数によるセグメントに強く訴求できます。例えば、ファッションブランドやファッション雑誌は特定の性別と年代に訴求することで強く支持が得られます。
また、利用場面によっても強みを発揮できます。コーヒーは朝飲むことで眠気を解消できるとアピールすることで、朝飲むコーヒーだと消費者に位置づけることができます。
道具の利用シーンでは利き手が左だと使いにくい道具があります。例えば、ハサミは特に断りがないと、右手で持ちやすいよう作られていることが多いです。そのため、左手で持とうとすると、非常に切りにくくなります。
左利きでも持ちやすいよう左利き専用のハサミを作ることで、左利きの消費者を取り込むことができます。
製品デザインで強みを探す
製品の強みは製品自体の特性や便益、利用者や用途での訴求以外にも、製品の見た目も強みになります。
具体的に、どのような見た目が消費者に好まれるかはわかりません。
そのため、デザイン、形状、カラーリングなどを変更してどれが好まれるかわ調査しましょう。
色は何色と選ぶのではなく、いっそのこと「透明」にするのも良いかもしれません。時計の文字盤を透明にして、時計の機構を見せるというデザインも実際にあります。
また、デザイン以外にもネーミングも重要なポイントです。
製品に付随する機能、製品以外から探す強み
強みとは何も、製品そのものから探さなくても良いのです。
製品に付随する機能、例えばサービスで強みを得ることも可能なのです。
例えば、ドミノピザはピザ自体で一大帝国を築いたのではなく、配達の早さというサービスによる強みを打ち出して成長しました。
製品の迅速な配達というのは強いアピールポイントになります。
このように製品以外に訴求点を作る事は十分可能なのです。
例えば、家電を扱っているなら、家電の取扱いについて詳しくサポートしたり、修理などの製品以外のサービスで強みを持つことが可能です。
他にも、製品そのものではなく、製品ができるまで、すなわち製品開発秘話をアピールすることもできます。
製品ばかりに目を向けるのではなく、その周りに目を向けることで強みを発見できるかもしれません。
以上、強みについてお話ししましたが、強みの探究というのは非常に難しく、ゴールがありません。強みを一度打ち出したとしても、競合がすぐに真似をすることで強みが失われてしまいます。
そして、現在では強みというのはいとも簡単に模倣されてしまうようになっています。
強みの保護は例えば、特許や著作権のような法的な保護が得られることが望ましいです(もちろん法が機能して保護されることが前提です。国によっては実質的に無法状態なこともあります)。
しかし、強みの多くはそのような保護は望めません。そのため、企業はいち早く消費者に「この製品なら○○」と思ってもらえるよう、消費者に知覚されるブランドの確立に注力しています。
製品そのものを模倣されても、消費者の頭の中では、それらはただの模倣品だと思われるような製品やブランドになることが真の強みと言えます。
現在ほど、製品そのもの以外で強みを見出そうとする時代は無かったでしょう。