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広告、PR、パブリシティ、何が違う?

 

プロモーション・ミックス』の項ではさまざまなプロモーション手法について解説しました。

 

おさらいすると、プロモーション手法は以下の5つです。

 

 1.広告
 2.販売促進(セールス・プロモーション)
 3.人的販売
 4.パブリシティとPR(Public Relations)
 5.ダイレクト・マーケティング

 

どれも根本的には宣伝手段なのですが、中でも広告PR(Public Relations)パブリシティ、の3つの違いが分かりにくく、明確に区別できていないと思われます。

 

特に、「パブリシティとPR」という風に一括りにしているため、この2つは尚更区別しにくくなっていることと思います。

 

本項では、このような混同しやすい3つのプロモーション手法の区別を明らかにします。

 

広告、PR、パブリシティ、3つの宣伝手段の特徴おさらい

まず、これらの特徴を簡潔におさらいしてから3つの違いを見てみましょう。

 

 広告:企業が広告主となり、企業負担でメッセージを伝達する。

 

 PR:一般大衆との関係を良好にする活動。

 

 パブリシティ:マスメディア主体で、消費者に情報発信をする。

 

ざっくりというと、各宣伝手段の特徴は上のようになります。

 

それでは、各々の違いを見てみましょう。

 

有償か無償か│広告とパブリシティの違い1

広告とパブリシティ、この2つははまず、有償か無償かで分けることができます。

 

広告は、企業が消費者に対して自社製品の購買意欲を促したり、良好なイメージを持ってもらうための情報提供です。

 

そして、広告は有償の宣伝手段です。

 

企業が広告主となり、広告主が主体的に有償で情報を発信していく宣伝手段です。

 

一方、パブリシティは基本的に無償です。ただし、ペイドパブリシティという言葉があるため、有償のパブリシティもあります。

 

パブリシティとは、マスメディアなど第三者に情報を提供し、報道してもらうことで消費者に宣伝するのと同じ効果を得ることです。

 

企業が自社の有用性を自分からアピールするより、第三者視点での報道の方が客観性もあり、広告よりも信頼性の高いアピール方法です。

 

マスメディアからのアプローチを待つのではなく、企業がマスメディアに働きかけて話題を提供することでパブリシティの成果を高めることができます。

 

主観的な情報か客観的な情報か│広告とパブリシティの違い2

広告は自社主体で情報を発信し、パブリシティはマスメディア主体で企業の情報を発信します。

 

情報の中身自体はさほど変わりませんが、発信主体が異なることで、情報を受取る消費者からの認識が異なります。

 

広告は企業が自社の名を持って有償でメッセージを発信します。当然、メッセージを受け取る消費者はそれを知ったうえで広告を見ます。

 

広告には有利な情報ばかり掲載されているのは、企業が良い部分しか見せない(更に言うと、都合の悪い部分は載せない)ということを消費者はわきまえて広告を見ています。

 

一方のパブリシティは、マスメディアという第三者が企業や製品の情報を発信します。

 

第三者視点での情報なため、客観性が高くなり、消費者からの信頼性も増します。

 

パブリシティは基本的に無償で行われますが、そのためには企業側から常にマスメディアに取り上げられるような話題性を提供しなければなりません。

 

マーケターはこのようなパブリシティに活かせる仕掛け作りに取り組みます。

 

基本的に無償とはいえ、マスメディアも企業であるため、有償で情報発信を依頼することも可能です。

 

新聞社や雑誌社と協力し、記事の体裁をとった実質的な広告を記事広告ペイドパブリシティといいます。

 

ペイドパブリシティは事実上の広告ですが、通常のパブリシティ同様に記事の形をとっており、客観性を持たせることが可能です。

 

PR(Public Relations)とは│広告、パブリシティとの関係性

広告とパブリシティとの違いについてはこれまでの解説で理解したと思います。

 

それでは、最後にPRと他2つの違いについて解説します。

 

PRと広告、パブリシティの関係はというと、PR活動の中に広告やパブリシティの活動の一部が含まれているのです。

 

PRとはPublic Relationsの頭文字で、直訳すると「公衆との関係」となります。

 

PR活動とは公衆との良好な関係を作るための活動であり、広告やパブリシティもその一つです。広告は「売り込み」だけが目的ではなく、商品への良好なイメージを与えたり、顧客との関係性を繋ぎとめたりもします。パブリシティもまた同様です。

 

PRには他にも寄付や慈善活動、環境対策といった企業が社会に貢献していることをアピールすることで、消費者からの良好なイメージを形成する役割があります。

 

このようにPRと広告、パブリシティはそれぞれ異なる活動でありますが、3つの活動には一部重なる領域があるのです。

 

なお、自己PRという言葉につくPRは、Public Relationsを意味しています。プロモーションのPRと同じ言葉の略です。

 

就職・転職活動で良く使われている言葉ですね。

 

採用面接の場で「自己PRしてください」と言われた場合は、たいていは自分のアピールポイントを強く訴えます。自分を雇うことで企業にどんなメリットがあるのか、あの手この手で説得する活動です。

 

このように自己PRには、「売り込み」のようなニュアンスで使われています。

 

そのため、企業のPRとは意義が異なります。

 

コトラーによるパブリシティとPR

ちなみに、コトラーの著書「マーケティング・マネジメント」では、コミュニケーション手段の1つに「パブリシティとPR」とあり、2つの活動はまとめられています。

 

なお、コトラーによると、「パブリシティとPR」は

 

企業のイメージや個々の製品に対するプロモーションと保護のために計画されたさまざまなプログラム。

 

とあります。

 

さらに後に、「パブリック・リレーションズ」の項目でも同様の記述があります(ここでは、「パブリシティとPR」ではない)。

 

PR(Public Relations)を単に直訳の「公衆との関係」ととらえて定義せず、マーケティング上の定義として上記のように表したのでしょう。

 

また、マーケティング・パブリック・リレーションズを以前はパブリシティと呼ばれる活動であったと説明しています。このことから、「パブリシティとPR」はほぼ同一の活動、あるいは同じ目的を持った異なる活動とみなせるのかもしれません。


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