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色んなブランド|ブランドの種類

 

〇〇ブランドという言葉で、あなたはどのようなものが思いつくでしょうか? 私は、スーパーやコンビニなどの小売店が販売している、プライベート・ブランドがまず頭に思い浮かびます。

 

プライベート・ブランドはブランドの種類の中でも有名だと思いますが、他にもブランドにはさまざまな種類があるのです。

 

製品名も企業名も個人名もブランドになる昨今、ブランドはさまざまな分類があります。

 

そこで、ここではブランドの種類をいくつか紹介していきます。

 

なお、個々のブランドを取り上げて、「こっちは〇〇ブランド、あっちは××ブランド」といったように厳密に区分けすることに、実務上の意味はありません。

 

主なブランドの種類

 

@ナショナル・ブランド(National Brand;NB)
全国的に有名なブランドをナショナル・ブランドと呼びます。

 

ブランドが広く国民に知られていることから、「国民的な」を意味する「ナショナル」が付き、こう呼ぶようになりました。ちなみに和製英語です。

 

また、ナショナル・ブランドのうち、国際的に有名なものをインターナショナル・ブランドと呼ぶこともあります。

 

例えば、ソニー(SONY)やトヨタ自動車(TOYOTA)などは日本全国に広く知れ渡っているため、ナショナル・ブランドに分類できます。

 

また、国際的にも有名なブランドであるため、インターナショナル・ブランドに分類することも可能です。

 

Aプライベート・ブランド(Private Brand;PB)
流通業者が主体的に作るブランドをプライベート・ブランドと言います。上述のナショナル・ブランドの対義語に当たります。

 

セブン&アイ・ホールディングスのセブンプレミアムやイオングループのTOPVALUなど大手小売業者をはじめ、現在、さまざまな流通業者が自社のプライベート・ブランドを作っています。

 

プライベート・ブランドとして売り出される商品の種類は、食品や日用品、家電製品などが主です。

 

ブランドを作るのは流通業者ですが、実際に製品を製造するのは、独自のブランドを有する有名なメーカーであったりします。

 

例えば、食品ではハウス食品や味の素といった大手が委託されています。

 

また、TOPVALUのアルコール飲料「麦の薫り」の例では、サントリーと共同開発したため、TOPVALUブランドで売りだされているものの、「SUNTORY」ロゴも表記されています。

 

メーカーが他社ブランドの製品を製造するメリットは余剰生産力の有効活用や売上の安定化などがあります。

 

A―2 ストア・ブランド
上記のプライベート・ブランドの一形態で、小売業者が自社店舗で販売するために設立したブランドをストア・ブランドと呼びます(国によって呼び方が異なり、ハウス・ブランド、ホーム・ブランドなど複数の呼び名があります)。

 

Bライセンス・ブランド
名板貸のように、他者に自己のブランドの使用を許諾するブランドをライセンス・ブランドと言います。

 

ファッション業界ではライセンス契約を結んで、他社のブランドを冠した商品を開発・販売することが往々にしてあります。

 

ライセンス・ブランドで最も有名なブランドの一つにディズニーがあります。ディズニー自身が商品を開発しなくとも、他社がディズニーのブランドで商品を販売し、ディズニーはブランドの使用料(ロイヤリティ)を得て莫大な収益を上げています。

 

C共同ブランド(コ・ブランド、Co-Brand)
異なる2つ以上のブランドを使ったブランドを共同ブランドあるいはコ・ブランドと言います。

 

いわゆるコラボレーションによるブランド形成で、同一企業内での共同ブランドと、異なる2つ以上の企業でのジョイント・ベンチャーによる共同ブランドといった形態があります。

 

ブランド・ポートフォリオ│ブランドの階層構造

「ポートフォリオ」とは「書類カバン」のことで、転じて「ある要素の組み合わせや集合」を意味します。

 

投資をしている方ならご存じかと思いますが、株式や債権など保有している金融資産の組み合わせをポートフォリオと呼びます。

 

そのブランド版がブランド・ポートフォリオです。

 

企業は複数のブランドを有することができ、細分化された市場に合わせてさまざまなブランドを形成し、市場に送り出しています。

 

企業のブランドのもと、事業のブランドが展開され、さらに事業のブランドのもと、カテゴリーや製品ごとにブランド展開する。このようなブランドの階層構造になっています。

 

ブランド・ポートフォリオとは、そのような複数のブランドを持つ企業の全てのブランドを指します。

 

@コーポレート・ブランド(企業ブランド)
トヨタ、ソニーやコカ・コーラのように、企業自体がブランド化しているものです。

 

企業が展開する製品は全て、コーポレート・ブランドを冠して販売されるため、コーポレート・ブランドの良し悪しが、企業価値の形成に大きな影響を与えます。

 

上で挙げたトヨタやソニーは、そのコーポレート・ブランドのもとに事業を展開しています。

 

そのため、事業や製品を統一したブランドで市場に送り出すことができ、強力なブランド(パワー・ブランド)を活かして製品展開することができます。

 

なお、企業名=ブランド名とならない例もあります。

 

例えば、東日本旅客鉄道はJR東日本、日本電信電話はNTT、といったように企業本来の名称より、消費者に馴染みやすいブランド名を設定するケースです。

 

A事業ブランド
事業ごとにネーミングを行うことで、事業内容を明確化するために使われるブランドを事業ブランドといいます。

 

トヨタはクラウンのような高級車は製品としては持っているものの、トヨタブランドとして販売しています。それに対し、レクサスは高級車ブランドとして事業展開したため、レクサスという事業ブランドで販売しています。

 

この例のように、同じ企業の事業ではあるものの、他の事業との差異を明確化したい場合、その事業を新たにブランド化して展開することが有効です。

 

事業ごとに子会社を設立し、ブランド化した場合や傘下の企業も、本体の企業からすると事業ブランドとなります。

 

例えば、ベネッセコーポレーションは通信教育事業の進研ゼミが主な事業ブランドです。他にもグループ企業で英会話学校のベルリッツや学習塾の東京個別指導学院などの事業ブランドがあります。

 

Bファミリー・ブランド
複数の製品カテゴリーに共通したブランド名を付けて展開するブランドをファミリー・ブランドと言います。

 

例えばトヨタのカローラは、バン、セダン、クーペなど複数の製品カテゴリーをまたいで、カローラブランドで販売しています。

 

異なる製品カテゴリーにおいても、共通したブランド名を冠することで、既に確立したブランド・イメージを基盤にすることができます。

 

C製品ブランド(プロダクトブランド、個別ブランド など)
個々の製品・サービスをブランド化したものを製品ブランドと言います。

 

「個々の製品」と言っても、同じカテゴリーの製品の場合は、同じ製品ブランドで展開されます。

 

コカ・コーラ社の「ファンタ」にはグレープやオレンジといった異なるフレーバーにも、「ファンタ」という製品ブランドを用いています。

 

その他色々なブランド

 

○DCブランド
DCとは「Desineres & Characters」の略です。

 

デザイナー個人の名称やブランドのキャラクター性をアピールしたブランドです。

 

ファッションブランドはデザイナー名をそのままブランド名とする例が多く、トム・フォードはその一例で、キティなどはキャラクターがブランドになっている例です。

 

○ノーブランド
商品に固有の商品名や商標名が付かないブランドです。

 

洗濯用の石鹸に「洗濯石鹸」とだけ表示されているものはノーブランドです。

 

英語ではoff brandと言います。

 

○マスター・ブランド
上位のブランドの下に複数の事業を展開する戦略において、上位のブランドをマスター・ブランドと言います。さらに、この戦略をマスター・ブランド戦略といいます。

 

例えば、メルセデス・ベンツは企業自体が強力なマスター・ブランドとなり、下位にクラス分けされた複数の製品カテゴリーを有しています。

 

○サブブランド
上位のブランドに対して、下位のブランドをサブブランドと言います。

 

例えば、ファミリー・ブランドのサブブランドは製品ブランドですが、事業ブランドからすると、ファミリー・ブランドがサブブランドになります。

 

なお、サブブランドをさらに細分化して拡張展開したときのブランドをレンジブランドといいます

 

○フランカー・ブランド(ファイター・ブランド)
自社の主力ブランドの市場シェアを競合他社から奪われないために設立する、同一カテゴリーのブランド。


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